第9話 試作武器。

デリーツが持ってきた事で、三周目は試作型の武器を試す事になる。

レール搭載型のパチンコを任されたのが板橋 京子で、男性向けの強化型パチンコを力自慢の沖ノ島 重三が担当する事となる。そして迫撃砲型のパチンコを千代田 晴輝が担当した。


唯一の教師、三ノ輪 彦一郎は教師らしく「策士策に溺れるにならないようにね。有用性なんかは生き残った結果についてくるんだ。無理に使いこなそうとしない事だよ」と3人に注意を促す。


迫撃砲の弾は週に2個ずつしか作れないとデリーツに言われ、代わりに余った弾を入れられて散弾状になるガラス玉と大量の鉄球が渡された。

迫撃砲は外側の壁際に設置されて長距離攻撃を行う形になる。


将来的に体力や戦闘力に自信のない女子向けにする予定だが試作段階で問題点の洗い出しが必要な点から千代田 晴輝が受け持つ事になった。


三周目になったが二周目の残りカスとしてブヨブヨが出る。

早速遠距離から試射する板橋 京子は「真っ直ぐ飛ぶ!当てやすいです千代田君!玉ノ井さん!」と報告し、沖ノ島 重三はフルパワーで放った氷結弾がブヨブヨの中にめり込んでから凍り付く結果で今までよりも何個も弾の節約になると皆で喜んだ。


千代田 晴輝の迫撃砲だけは狙い通りの結果にならずに困り果てる事になる。

動き回れない分だけ狙われるし、高く打ち上げた弾は壁を越えてユータレスに直接入り込んでしまった。


だが三周目と言うこともあり、スターク共の数も少なく、千代田 晴輝の部分は問題にもならなかった。

そして千代田 晴輝は不本意だったが沖ノ島 重三と板橋 京子からは本気で凄いと感謝をされる。


コレにより千代田 晴輝のスイッチが入り、装備開発に力を入れる事になり、余暇は全てセオとワオに付き合って貰う形で装備案を立てて行く。


そして週末に来たデリーツは戦果に満足をして新たな図面にも「任せてくれ!」と言って帰る。


足取りの軽いデリーツの後ろ姿を見ながら梅島 陸が「千代田、新型図面は何書いたんだ?」と聞く。千代田 晴輝は「対ガチガチ用のパチンコです。セオさんとワオさんに可否を聞きながら書きました」と言って自信ありげな顔をしていた。


四周目、スターク共の現れない日々は本当に休日という感じで気が緩む。だがここはコルポファで自分達は日本に帰れる日を信じて待っている身。

訓練の中、特別だと言ってデリーツが新型のパチンコを持ってきた。


千代田 晴輝に渡しながら「まるでバリスタのようだな」と言うデリーツに「え?バリスタはあるんですか?」と逆に千代田 晴輝が問う。


「うむ。もう100年は使っていないが過去には戦争もあった。そのノウハウが残っているからこうして新兵器もすぐに持ってこれるのだ」

「わかりました。また必要になったら図面を描きますのでよろしくお願いします」


このやり取りに満足そうにデリーツは帰って行く。

その後ろ姿を見ながら梶原 祐一が「アイツ、今までそんなもんがあるなんて言わなかったぞ?」と言って熊野前 康平が「あるなら出せよな」と不満を口にする。


千代田 晴輝は「よくわかりませんね」と相槌を打つと、鉄の矢を放つパチンコを豊島 一樹に任せた。


「鉄の矢は数えると100本あったから毎週貯まるか試しながら使おう。ガチガチに効くか試したいから来月の一周目は頼むよ」

豊島 一樹はバリスタ型を見ながらニヤニヤと笑い「オッケー、オッケー、任せなさい」と言った。


胸を張って鼻高々に言う豊島 一樹に千代田 晴輝は「そのポジティブさ本当に助かるよ」と言った。


一周目の最後、見事にガチガチの硬い表皮を割って剥き出しになった内部に板橋京子が火炎弾を打ち込んで通常の何倍もの結果を示していた。


この事にまたデリーツは気を良くして「おお!見事だ!また何かあったらいってくれ!」と言い、毎週25本の矢を供給する事を約束してくれた。

正直メインの使用法はガチガチを倒すだけなので矢は足りなくはないが心もとない。



翌週、デリーツが来た時に千代田 晴輝は供給面の確約を取り付ける事にする。


その結果、剣と槍と金棒は毎月最大各20本から剣を10、金棒を13にして槍だけは必ず在庫を抱える事になっても20欲しいと伝えて確約を取る。それ以外の魔法弾や矢にしても従来通りの数は守ってほしいと伝えるとデリーツは「任せるのだ」と言った。


デリーツが帰ってから三ノ輪 彦一郎が千代田 晴輝に「なんで槍メインにするんだい?」と疑問を解消する為に質問をする。

確かに剣なんかはほとんど使わない。

だがそれなら槍もブヨブヨを倒す為に大塚 直人が使うくらいであまり使わない。


「槍は弾にします。僕の記憶通りならバリスタって設置型のボウガンみたいなものですよね?なのでその為に槍を巨大な矢にします」

この説明に三ノ輪 彦一郎が「成る程、悪くないね」と賛成をする。


「それに壁と壁の間は体感で150メートルくらいです。弾の回収もやりやすいです」

「後は図面をどう描くかだね。僕も手伝うよ。こんな事なら物理や技術科の教師になれば良かったかな?」


こうして5月の末には設置型のバリスタが用意された。

兵士と共に持ってきたデリーツは「射角面からあまり有益には思えないが…」と不満を口にしたが豊島 一樹が「俺が誘き寄せて」と言い、大塚 直人が「俺がズドン」と肩を組んで言うのでデリーツは「ふむ。その意気や良し」と言って帰っていった。

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