11/21~11/30

21日


貴方が諦めようと、私は諦めないから。どれだけ疲れようと、どれだけ諦めたくなっても、足を止めずに歩み続けるから。

でも私だって一人じゃ歩けない。それはやっぱり貴方がいるから。貴方が私を見続けてくれるから。そして何だかんだ、横を歩いていてくれるから。

私はどこまでだって、歩いていける。


「歩いていく」




22日


真っ直ぐに愛を伝えたって、いいじゃないか。減るものでもないし。

そう、減るものじゃないんだ。むしろ、伝えれば伝えるほど、愛は増すばかりだよ。なのに、何で皆遠回しだったり恥ずかしがったりするのだろう?伝えておいたほうがお得だよ?私が貴方を好きだって、知ってもらえるんだから。言え!!


「言え!!」




23日


貴方は昔から私に優しかった。私がおやつがほしい、と言ったら、甘くて可愛いおかしを作ってくれた。私が暇だと泣けば、ちょっとお高めの、貴方のお宝のゲーム機を貸してくれた。寂しいと言ったら、頭を撫でてくれた。

貴方は私のことを、きっと妹としか思っていない。

私は違うよと、今日、告げます。


「優しいお兄さん」




24日


「あ」

貴方がふとそう言ったので、私はもはや条件反射で、「い」と答えた。

「うー」

貴方は小さく苦しそうに呻いたので、私は戸惑って、「え?」なんて声を出した。その時彼の手にコップが当たって、机から落ちそうになり……私がキャッチ。

「おっ……と……」

「感謝してよね」

ゲームはまだ続く。


「あいうえお作文」




25日


良ければどうか、私と手を繋いでください。一緒に舞い踊りましょう。

時には足を踏んでしまったり、振り付けを間違えてしまうこともあるでしょう。そんな時も、どうか笑い合って下さい。楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、全て2人で乗り越えていきましょう。

そんな人生の舞台を、私と踊りましょう。


「プロポーズ」




26日


太陽一つちょっと指先で掬って、頬につけてファンデーション。夜空色のアイシャドウが綺麗でしょ?

惑星を天の川で繋いで、神秘的なネックレス。

星雲は糸のないワンピースにしよう。暗黒星雲だって構わない。身に着けちゃえば皆一緒。私を飾る綺麗なもの。


そんなことを考え、今日も一人ベッドの中。


「宇宙のファッション」




27日


まだ日も昇っていない時間に家を出る。目覚まし時計で無理矢理起きた、その瞼はとても重くて。怠い体に鞭を打ち、家を出て、もはや夜道を進んでいく。

道行く人はいない。たまにランニングをしている人と、ペットの散歩をしている人がいて、軽く会釈。

やがて日が昇って、眠い目に朝日がとても染みる。


「目覚め」




28日(※二本あります!)


お腹が減ったので、感情を咀嚼しました。

まず怒りがあったので、金平糖にして食べました。ぱく、ガリガリ、ごっくん。

次に悲しみがあったので、飴玉にして食べました。ぱく、コロコロ、がりっ。

最後に小さな喜びが残りました。一口サイズのケーキになりました。

……私には、食べられませんでした。


「お食事の時間」




子供の時、少し遠出するだけでドキドキした。

大人の目がない所に、友達と行く。それだけで僕達には冒険で。

後から怒られても、一週間もすればまた飛び出して行った。


でも今は、その気になりさえすればどこへだって行ける大人になった。

あのワクワクを、子供の時にもっと味わっておけば良かった。


「消えた冒険」

(アイオラ様主催、「#アイオラ140字企画」参加作品です。テーマは「後悔」)




29日


久しぶりに、小さな頃好きだった絵本を取り出して、読んでみた。

大きな文字、漢字なんて使わない。カラフルな色彩が一気に目に飛び込んで、眩しいくらい。とても、ワクワクして。

もちろんすぐに読み終わって、目を閉じた。

そして思い出すのは、母親に「一人で読めたよ!」と言いに行った、あの日。


「一人で読めたよ」




30日


銀杏並木を歩いて行く。黄色の絨毯が私を出迎えてていい感じ。

あっ、清掃員の人が葉っぱを掃除してくれてる。いつもありがとうございます。

集めて積もり積もった黄の山。思わず飛び込みたくなっちゃう。

するとえいっ。小さなリスが飛び込んでいって、てっぺんから顔を出す。

やっぱり私も!えいっ!


「飛び込みたい!」

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