密の習性(これがいわゆる、あざとカワイイってやつか)

 などと、惑星プラネットハンターとしての職業柄、つい生物資源的な方にばかり目が行ってしまってたが、ひそかは外見的にもいかにもな<愛らしさ>を発揮していた。

 よく見ると、プロポーションや顔つき的に十代半ばくらいの少女っぽい印象があり、しかも上目遣いで俺を見るとか、仕草の一つ一つがあざといくらいに可愛らしかった。ちなみに尻尾は短くてやはり毛に覆われていて、こちらはウサギというよりはパンダのそれに近いかもしれない。

 しかし可愛い。間違いなく可愛い。白くてもふもふの美少女など、完全にそういう路線を狙ってるとしか思えないくらいに。

 ただ、こうやってずっと見てると、気になってくることもある。彼女には仲間とかいるのだろうかと。

「なあ、ひそか。お前には仲間とかいるのか?」

 と問い掛けてみても、彼女は不思議そうに首をかしげるだけだった。当然か。こっちの言葉は理解できないだろうしな。

「ふむ……そろそろ休養にも飽きてきたし、せっかくだからこの辺りの調査にでも行ってみるか」

 ひそかが俺に気を許して(たぶん)から二週間が経ち、俺はそう言って探索用の装備を身に付けた。ナイフやハンドガンや防獣スプレーを吊るしたジャケットと、飲料水や非常用のエネルギーバーやろ過機やコンロ等を詰めたリュックという、割と軽装ではあったが。

 護身用という意味ではエレクシアがいれば十分なので、俺自身の装備はそれこそお守り程度の意味しかないのだ。

「さて、ピクニックに行きますか」

「ピクニックではなく調査です。マスター」

 やはりジョークを解さないツッコミを入れてくるエレクシアを伴い、俺はジャングルに足を踏み入れた。ひそかはどうするかと思ったが、どうやら俺たちについてくるつもりらしい。取り敢えず好きにさせておく。

 それにしても、ジャングルとは言ったがそれはあくまで見た目の印象でそう言っただけで、熱帯雨林のそれと明らかに違ってた。ここまでにも何度か激しい雷雨があったりして湿度は低くないものの、気温は俺にとっても快適な程度なので、全く苦痛じゃない。

 なお、ひそかは、俺とエレクシアの周囲を、お互いの姿が見える程度の距離を保ってついてきていた。ほぼ人間と変わらないプロポーションをしてることからも分かってたが、地上では基本的には直立二足歩行をする。が、同時に足の指は手の指と変わらないくらいに器用に動き、身体能力は高く、木の枝などを伝って自在に動き回るその姿はやはりサルを思わせたのだった。


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