未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます（電撃小説大賞応募バージョン）

密（嫁二号、余裕でゲット）

　その白いふわふわの女の子っぽい＜何か＞を、俺は＜密（ひそか）＞と名付けて様子を窺うことにした。

　人間を守ることを最優先するメイトギアのエレクシアAM10が殆ど警戒しない点でも分かるように、密（ひそか）はどうやら好奇心旺盛なだけで実質的には無害な生き物らしかった。

　ウサギを思わせる白い体毛。耳は長く垂れていて、つぶらな目は長い前髪に隠れていたから、遠目では人間っぽく見えなかったんだな。だがこうやって間近で見てみると、完全にウサギのコスプレをしてる女の子って感じだ。俺とエレクシアのことが気になって様子を窺っていたらしい。でも、俺の方も密（ひそか）に対して敵対的な行動をしなかったことで、もっと近くで確認しようと思ったんだろう。

　ただし、彼女には人間のような明確な知性はなさそうだった。サルとかその辺並みの知能はありそうなものの、言葉を喋る訳でもなく、明らかに意図を感じるコミュニケーションを取ろうともしてこなかった。

　とは言え、ここまで人間に似た形態、特に顔の作りは毛皮を除けばほぼ人間のそれを思わせ、不自然ささえ感じさせた。

　俺は別に生物学の専門家じゃないが、普通に考えると偶然にそういう形態になる確率は限りなくゼロに近いということくらい分かる。見た目はウサギっぽいが生態はサルに近い生物が人間の顔になる合理的な理由がない。

　ということで俺は、一つの仮説を立てた。

『密（ひそか）は、この惑星にかつて存在した人間型の生物の成れの果てなのではないか？』

と。

『知性を失い文明を失い野生動物と化した人間なのではないか？』

と。

　もしそれが事実なら、ものすごい大発見のはずなんだ。地球人類以外の知的生命体の痕跡の発見はその手の学者にとってはそれこそ喉から手が出るほど欲してるものらしかった。ということは、もし、密（ひそか）が地球人類以外の人類の末裔であったりしたら、少なくとも学者界隈はとてつもない大騒ぎになるはずだ。

「でも、この惑星を脱出し報告しなければそれこそ宝の持ち腐れというものですね」

　思わずニヤニヤしながら独り言を並べてた俺に、エレクシアの辛辣なツッコミが。

「ぐはっ！　的確に抉ってくるな、エレクシア！！」

　大袈裟に返す俺を、密（ひそか）が不思議そうに見詰めてた。

「面白いか？」

　そう尋ねながら、そっと頭を撫でてみる。最初は少し怯えてる様子もあったが、今では気持ち良さそうに俺の手の感触を味わってる風ですごく愛らしい印象もある。俺自身、安らいだ気持ちになるタイプのそれだ。

　仲良くして損はないように思う。