溺愛アイドル ~妹以外は全員ゴミ~

ぺんなす

第1話 お兄様はアイドルです

うぅ…。もう、朝……。

あ、早く起きないと…!


「お兄様……!」

「……!朱音。どうしたの?こんな朝早くに」

「お兄様の、お見送りをしないと…って思って…」

「…俺の為に、早起きしてくれたの?」

「はい……」

「朱音。ありがとう」

お兄様はそう言って私を抱きしめてくれました。

ずっとこのままお兄様のお傍に…。

ですがそれは、叶わぬ願いです。

「お兄様、行ってらっしゃい…」

「うん。行ってくるよ」

私のお兄様は…アイドルです。


「うわっ!莉音がニコニコしてる…。明日は雷だ…」

「お前うるさい」

「いや、怖ぇよ!急に態度変えるの、やめろよな〜!」

「お前がうるさいのが悪い。こっちは気分が良かったのに。お前のせいで台無しだ」

「えっ!俺のせいなの?!」

「あははっ、2人は朝から元気だね」

「2人とも静かにしてよー寝れないじゃん。ていうか莉音の機嫌なんてさー朝、あの子に会えるか会えないかで変わるでしょ。いつもの事じゃん。いちいち騒がないでよねー。鬱陶しいー」

「寝たいと言いつつ、会話に参加している君も朝から騒々しいが?」

「は?なにそれ。僕はこいつらがうるさいから────」


俺は、アイドルだ。

こいつら?こいつらの紹介なんていらないだろ。

この世界には朱音と俺がいればいい。それ以外はいらない。

朱音以外の人間なんてゴミと同程度の価値しかない。

アイドルになってから、一年。

気づいたらトップアイドルと言われるようになった。

正直辞めようと思ったことは何度もある。

何故なら朱音と居られる時間が減っているからだ。

俺は朝が早いし帰りも遅い。

毎日ではないにしろ、朱音はそんな俺の為に、朝早く起きたり、夜遅くまで起きていたりと…朱音の体調が心配だ。

だが、辞めるわけにはいかない。俺は、もっと上を目指す。

全ては朱音の為に────。

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