SS集

【婦警のその後】


*第2話「ヒーローの資格とは」終了後の物語です。

 

 避難誘導が終わり、助け出した少女の家族も無事に見つかる。


 そして婦警二人も聞き取り調査から解放された。


 日本政府はしつこくキングスセイバーの行方を追っていると聞いていたが想像以上だ。


 まるで犯罪者を追いかけているような印象を持った。 


 事態が事態なので署内で泊まり込み。


 現在は休憩中で婦警二人は愚痴っていた。


「先輩、キングスセイバーって声からしてまだ子供ですよね」


「ええ――最近の子供って育ちもいいからあれで中学生って説も」


「でも、特撮ヒーローの中には変身して体型まで変わる人達もいるんですよ」


「だけどそれテレビの中の――」


「でも先輩。つい先日まで悪の侵略者が現れて世界がどうなるかの瀬戸際だったんですよ? そして再び襲来してきて・・・・・・」


「そうだったわね・・・・・・」


 後輩の婦警の言う事に先輩は頭を抱えた。


「・・・・・・お礼言いたかったな」


「そうね」


 その言葉については先輩も同意した。


「一体何者なのかしら、彼は」


「さあ? 日本人説が濃厚だけど、中には宇宙人説何て言う説もあるわね」


「宇宙人か~リベリアス帝国も宇宙人みたいなもんよね」


「正確には異次元らしいけど、私達地球人からしたら似たようなものよね」


「そうよね~」


 などと言い合いながら時間は過ぎていき、やがて・・・・・・


「さて、仕事に戻りましょうか」


「ええ、先輩」


 二人は自分達が出来ることをするために持ち場に戻る。

 

【スマホで撮影していた生徒達】


*第4話「熊谷 トシゾウ」のお話が終わった後の話です。


 スマホ撮影に夢中で危うく命を落としかけ、キングスセイバーに助けられた生徒達は熊谷トシゾウだけでなく、親や教師にも大目玉をくらった。


 結果、スマホを取り上げ、小遣いカットされた生徒もいた。


 同時に教師まで似たような事をしていて呆れもしたが・・・・・・


 夜になってもまだ泣いている子もいる。


「でも俺達助けられてなかった死んでたんだよな」


「うん・・・・・・」


 誰かがポツリと言った一言でみな力なく同意する。

  

「キングスセイバーにちゃんと謝りたいな」


「そうだね・・・・・・」


 それが嘘偽りない本心だった。


「許してくれるかな?」


「さあ? そこは誠心誠意謝るしかないんじゃない?」


「うん・・・・・・」


 と、決めてトボトボと解散する。



【輝木 ミライの担任】


*第4話「熊谷 トシゾウ」のお話が終わった後の話です。 


 輝木 ミライの担任は真剣に教師をやめようかどうか悩んでいた。


 彼はなんとなく生きて、なんとなく教師になって、そして後悔していた。


 クラスの中に調子づいたサルがいればそのサルに支配される。


 そのサルはいらん知恵ばかりを蓄えて面倒事ばかり起こす。


 自分の立場を上手いこと利用してスマホやSNSを巧みに利用するからタチが悪い。


 学力よりも恋人のあるなしとか、ルックスどうとか――将来のことなんて二の次、三の次である。

  

 上原 アユムやその取り巻きなどがそうだ。


 問題を起こしてもヘラヘラして、ちっとも反省しない。


 ただその日、その日を楽しく生きられればそれでいい。


 そんな連中を正しく導くのが教師の仕事であるが、そんな事を言っても聞く耳を持たず。

 

 逆にパワハラだのなんだので脅迫してくる。


(俺もヒーローになりたかったな・・・・・・)


 などと考えながら過ごしていて――そんなある時、悪の侵略者が現れ、キングスセイバーが出現し、そして本物のヒーローを間近で目撃した。


 問題がある生徒でも体を張って守ってみせたヒーロー。 


 子供の頃の憧れが蘇ったような感覚。


 心に直接訴えてくるようなこの感覚、感情はなんだろう。


 ともかく――


(もう少し・・・・・・教師続けてみようか)


 などと考えるようになっていた。

 

 まずはあの熊谷さんみたいにちゃんと叱れる大人になりたい。


 そこから始めようかと思った。

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