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side. Tamotsu






「ねえねえ~、ちょっといいかナ~?」



水の掛け合いで年甲斐もなくはしゃいでいたら、流石にバテちゃって。日陰に並んで、ぼーっと海を眺めていると…。






「キミらって高校生?良かったら一緒に泳ごーよ?」


ヤケに可愛い声でシナを作り、際どい水着で谷間を強調させたお姉さん達が。


僕達…いや、上原君に向けて声を掛けてきた。







「わわっ…」


お姉さん達は大胆にも、僕と上原君の僅かな隙間に割って入り…。気付けば両手に花状態な上原君。


途端にムスッとしちゃったのは、僕の気の所為ではないハズ…。







「キミ、すっごくカッコイいよね~!大学生かとも思ったんだけどぉ。ずっと声掛けようか迷ってたんだ~。」


あっそと、皮肉たっぷりにぼやいた上原君の腕に遠慮なく腕を回し。ふくよかな胸をそれに押し付けてくる派手なお姉さん。


僕は堪らずモヤモヤしてしまい…

けど口には出せず、気休めにもそこから視線を逸らす事しか出来なかった。







お姉さん達は巧みな話術と色香で以て、上原君を落としに掛かってたけど。

当の本人は、分かり易いくらいに不機嫌オーラを放っており…既に完全無視を決め込んでいて。


相手にされてないお姉さん達が、少し可哀相だったけど…本音はかなり、ホッとしてたんだ。



──────…だけど。







「ねっ、もお兄さん説得してくんない~?」


鉄壁な上原君は、簡単には墜とせないと観念したのか…と思いきや。今度は予想外にも、僕の腕にその胸を寄せてきたお姉さん。



どうやら僕の事を上原君の弟だと、勘違いしてるみたいだ。


…僕はチビだし、上原君は長身で大人っぽいから。

そう見えても仕方ないけど…ね。








「ホラホラ、行こ~?」


むにむにと、女の子の武器を使われても…困る。


そりゃ、あからさまに胸なんかを押し付けられば、当然恥ずかしいし。少し前なら、普通に流されてたかもしんない。


けど今の僕には…お姉さん達がどれだけ誘惑してこようと、絶対通用しないんだ。



上原君にだったら、瞬殺されてただろうけど。






いつの間にか二人がかりで僕を狙い打ちし始める、

お姉さん達。

正直こういう派手で積極的な女の人って、苦手だから…どうしよう…。




困り果てて真っ赤な顔して俯いても、

その腕は一向に離しては貰えず。


折角の夏休みで、まるで初デートみたいで。

楽しかったのになぁ…とか。


勝手にヘコんでいたら─────…







「…オイ、保から離れろよ。」


上原君が、冷えた声音で言い放つ。






「とっとと失せろ、尻軽女。化粧が濃過ぎて臭ぇんだよ、ブス。」



ピキーン────…

全員…勿論僕も含め、場が瞬時に凍りつく。




「はっ、はぁ…?何言って────」


しかし強気なお姉さん達はすぐ我に返り。

負けじと反論してきたんだけど…






「帰んぞ、保。」


「えっ、あ……う、うんっ…」


聞く耳もたず。

上原君は僕の腕をグイッと引くと、スタスタと歩き出してしまった。





見上げた顔は、スッゴく眉間に皺を寄せ…

あからさま怒っていて。


後ろでお姉さん達の罵声が聞こえてきたけど…

僕はもう、それどころじゃなくなってた。

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