第22話 オーク
結城は運ばれてきたオークをホムンクルス化した。命令は、私たちに危害を加えたものを殺すこと。近くの魔物を殺すこと。とした。結城は今まで特定の魔物を倒すことばかりに気を取られ別に特定の魔物ではなくともいいではないかということを忘れていた。
オークの処理を終えた後は、兵士の処理だ。鎧や剣をはぎ取り後は廃棄する。鎧や剣もドワーフたちに渡しインゴットにしてもらう。これで一旦、証拠隠滅を図る。
三日ほどするとホムンクルスが鹿を運んできた。久しぶりのお肉だと喜んで解体していると魔石を発見した。今は特に命令したいことが思い浮かばないため魔石は保存しておくことにした。解体を継続してお肉を食べようと思っていると、デライトが指をさす。そこには大量の鹿が運ばれてきている様子が見えた。なぜ急に?と思ったがオークに近くの魔物を殺すように命じたことを思い出す。この鹿たちは草食なのだろうかホムンクルス達を襲うことがなかったのだろう。そんなことはさておきドワーフ達も呼んで解体を手伝ってもらう。ドワーフ達は鹿の足の腱で弓を作ることに興味津々だった。
その日は美味しい鹿肉をたくさん食べた。
それから二日後、ロッタンさんが弓を持ってきた。
「おい、弓が完成したぞ。これで鳥の魔物なんかも狩ることができるんじゃないか?」
「ホムンクルスに弓が扱えるかわかりませんし、そもそも矢の補充をどうやってやるんですか?」
「そこらへんに置いておけば勝手に持っていくんじゃないのか?」
「ホムンクルスには落ちている道具は持ち帰るように指示しているので私の下に運んでくるかと思います」
「ならこれは販売用にする」
ロッタンさんは少ししょぼくれてしまった。
「そうしてください」
結城はそれを慰める気はなかった。
なんてことがあった二日後、武器を売るのと生活物資を補給するためにキャラバンを組み街を巡るそうだ。それにデライトとアリスも同行するという。キャラバンの護衛に鹿の魔石を使おうかとも考え取り出すとロッタンさんから待ったがかかった。
「おれたちドワーフがいるから護衛は不要だ。しかもホムンクルスの護衛となると街に入れるかわからんだろ。それはとっておけ」
結城は確かにそうだと納得したため鹿の魔石をしまう。
「出発は明日の朝だ。何か欲しいものがあるならそこの兄弟に伝えとくといい」
そういってロッタンさんは山を下りて行った。別に欲しい物もなかったため二人と別れを惜しみながら一日を過ごした。
次の日、キャラバンは問題なく出発していった。出発を見送った結城はロッタンさんに話しかける。
「ロッタンさんはいかなくてよかったの?」
「馬鹿野郎。行ったら鍛冶ができなくなるじゃねーか。それにあんたも二人が行って寂しいだろうしな」
そういって二人で笑いあっていた。
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