幼馴染の催眠術が強すぎるんだが

りんごかげき

1

「好感度100%です」


 俺こと天馬ツバサには、三つ歳下の幼馴染がいる。


 名前を、道命サキ。

 中学一年生である。


「次は……120%」


 肩までかかる黒髪を揺らして、大きな瞳をにんまりさせて、サキちゃんは両手を広げて、俺が抱きつくのを待っている。


「さあ、天馬お兄様。もう耐えられないでしょう? 欲望のまま、抱きついていいんですよ?」

「ぐぬぬぬぬぬ……〜〜〜⁉︎⁉︎⁉︎」


 俺は自宅アパートで、サキちゃんの催眠術に抗っていた。


「さすが、すごい精神力ですね? でも、もう限界です。わたしの体、ぎゅーってして楽しくなりたいの、わかります」

「お、俺ハァ、お前みたいなロリにぃ、興味ないぃ……!」

「わたしの催眠術で興味津々のはずですけど? 130%」

「ぐあああオオォ〜〜〜⁉︎」


 ていうか、何しとんねん俺たち。

 サキちゃんは催眠術の天才だ。

 俺は、いつもこの子に催眠術をかけられて、からかわれている。


「しぶといですね。天馬お兄様、わたしのお腹を見てください。ほら、きれいでしょう?」


 ペロリ、サキちゃんはパジャマをめくって、白いお腹を見せてくる。

 彼女、催眠術を使えるのをいいことに、俺と同居しているのだ。悪女だ。もうただのワルだ!


 う、美しいお腹がつるんと、太陽の光を照り返している。


 健康的で、かわいい!


「ぐああああ〜〜〜⁉︎⁉︎⁉︎」

「もう、このままでは天馬お兄様の精神が壊れてしまいますね……」


 パチン、とサキちゃんが指を鳴らすと、俺の燃えるような情動は、徐々に消失していった。


「はあ、はあ、勝ったのか……?」

「わたし、学校にいってきます。……あー、そうだ」


 サキちゃんはベッドでぐったりする俺を見て、にっこりと微笑んだ。


「今日は、天馬お兄様の高校に行こうかしら?」

「それだけはッ……! やめてくれぇッ……!」


 この子は催眠術の天才だ。高校への侵入などお茶の子さいさいだろう。

 お、俺は今日、どんな辱めを受けることになるのだ……?


――――――

 あとがき

 息抜きの新作です。需要あるようなら更新しますが、ない気がします笑

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