春が終われば

見ろ、春が終わる

瑞々しい自然に毒と火が撒かれ

華々しい街に弾頭と爆撃が降る

平和という春は此処に終わった


次いで夏が来る

烈日の様に銃弾が人々を刺し

溽暑の様に悪辣が文化を穢す

魂の彩が激烈に奪われる戦火の夏


それで秋が来る

一枚一枚枯れ落ちる葉の様に

一つ一つ残ったものが消えていく

その残骸すら冷たい風に流れ

または乱雑に集めて燃やされる秋


とうとう冬になる

しんしんと圧し潰す雪の如き

死と諦観が降り積もっていく

夜も昼も暖かな日差しは無く

全てが凍て曇り輝きを失う冬


諦めるなとは言えない

逃げるなとは言えない

死ぬなとは、言えない


春を終わらせるものは

茫漠で無惨に過ぎる


だが死ぬな

それでも残れ

そしてなげ

決して生き抜くのだ


その必死の果てに守られた者が

いずれ紡ぎゆく明日の連鎖の先


再び、春は訪れるのだから


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