届かない懇願

「千蔭さん。俺は……最後まで、アンタの傍に居たかったんです」


 ぽつり、独り言のように、語り掛けるように口から零れた言葉は、誰に拾われるでもなく空間に溶けた。


「……どうして、一人でそっちに行っちまったんですか」


 一人で暮らすために借りて間もないこの部屋は、以前住んでいた家よりもずっと狭いはずなのに、どうしてかがらんとしていて広く感じる。

 つけているTVの画面には、汚職事件の容疑者の一人として最愛のあの人が映っていた。


「せめて、俺も一緒に、連れて行ってくれれば……良かったのになあ……」


 絞り出すように、俯きながらそう言っても、反応を返してくれる柔らかい耳馴染みの良い声は、もう俺の傍で響くことは無い。


(診断メーカー#goodbyeを訳してみたより。

「goodbye」を三宅猫風に訳すと「最期まで貴方の傍にいたかった」になりました。

#shindanmaker

https://shindanmaker.com/732889)

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