航海第三十日目 少年時代

(平成11年10月9日〔土〕青い空)

 私が歩いていると、道端に何かが落ちている。近づいて見てみると、それは塔のオモチャだった。それを見ているうちに、私は少年時代の記憶が呼び起こされた。


 あれは、小学校高学年くらいの頃だったと思う。私たち生徒は教師どもの命令で組体操をやっていた。しかし、生徒たちにはまったくやる気はなく、常にうっとうしいと思っていた。


 そして、運命の10メートルタワーの練習をする日がやってきた。このタワーは、男女混合で行う。その総勢はだいたい30人ほどになる。

 無謀とも思われる種目だったが、私たちのクラス以外は次々に成功させていく。しかし、私たちのクラスは何度やっても成功しない。

 担任の教師は怒りだした。そして、クラスの者たちはそれぞれに自分の決意を表明しながら、タワーを形成していく。

(このことを思い出すと、目頭が熱くなる)


だが、3段目ぐらいまで進めたものの、残り4人必要のところ、1人が足りなかった。


(三十一日目につづく)

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