第17話 合同授業

保健室の騒動から1ヶ月が経ち、一樺はクラスメイト達といつもと変わらない日常を送っていた。

「一樺、次移動教室だよー」

「ちょっと待って今行くー!」

「私錬金術って苦手なんだよね……」

「分かるー。確か次ってBクラスと合同だっけ?」そう話していると紗理那が立ち止まりふと後ろを振り返った。その様子を見ていた一樺は「紗理那ー?どうかした?」と問いかければ紗理那は「……何でもない。行こ!」と告げてまた歩き出した。




一樺達が錬金室へ着く頃にはBクラスの生徒たちはほぼ全員揃っていた。黒板に書かれている席へ一樺達も座れば薬学担当の教師が入ってきた。教師は 「全員揃っていますね?」と一言告げれば生徒は「はい先生」と短く答えた。


「ではまずBクラスとSクラスで4人グループを作って代表者は前に。今日使う道具を渡します。」


「だってさ一樺。」


「まぁ適当でいいんじゃない?紗理那一緒に組も」


「勿論。あと2人……どーする?」そう紗理那が呟けば一樺とBクラスの生徒が目が合った。Bクラスの生徒はバッと視線を逸らすも一樺は笑みを浮かべながら彼女たちに近づき「ねぇ一緒に組まない?」と問いかければBクラスの生徒たちは少し戸惑いながらも頷き「だ……代表者はどうしますか……?」と問いかけてきた。一樺と紗理那は顔を見合せ「「誰でもいいよ」」と答えた。


「……で。私になったと……」


「次の代表者は……皐月か。これが今回の授業で使う器具だ。壊すなよ」


「壊しませんって。」そう答えながら一樺は自分のグループへ戻り正面を向いた。


「今回はグループで1つ鉱石を錬金してもらう。どんなものがいいか、性能、色、全てグループ内で決めてから開始するように。以上」その教師の言葉で教室はザワザワと騒がしくなった。


「んー……性能とかよくわかんないし色だけ決める?」と一樺が問いかければ全員頷き「じゃあ青にしよ!」と紗理那が告げた。Bクラスの生徒も「いいと思います……!」と告げ、一樺は頷き器具に手をかざし自分の魔力を注いだ。すると器具は淡い光を放ち、その中に青い鉱石が出来ていた。一樺は小さく息を吐き「出来た……」と呟き紗理那達に見せた。


「綺麗……」

「流石Sクラス……」

「この色綺麗だね一樺!」とグループのメンバーと紗理那が言えば一樺は少し照れくさそうにしながら教師を呼び、その鉱石を見せた。


「ふむ……サフィーロか。いいだろう。合格」


「あ……ありがとうございます!」


「やったね一樺!」その言葉を聞いた一樺はこくりと頷き笑みを浮かべた

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