私は母子家庭で母親は……

「ふぅ〜間に合った〜……ギリギリ戦利品を手に入れる事が出来たぁ〜……」


学校を出て狙っていた戦利品を運良くゲット出来た私は帰宅の道を歩く。

  ん?戦利品ってまさか「ARRY」関連グッズじゃないかって?そんな訳ないでしょうが!!「ARRY」の関連グッズ購入だったら!それこそ無駄話なんてせずに学校出てお店に向かってるわよ!!だいたい!「ARRY」関連のグッズ手に入れたならもっとテンション上がってるわよ!!


  コホン。失礼しました。では、私が手にしてる戦利品は何かというと……今日のタイムセールで安くなった食品の数々だ。

  私の家は現在お母さんと私の二人暮らしで、いわゆる母子家庭だ。それで、まぁ……私のお母さんは仕事は出来るんだけどそれ以外はぶっちゃけ出来ない人で……買い物でも余計な物とか沢山買ってきてしまうような人なので……なので、家事全般は私が行っている。

  よく、友達に全部任されて不満とかはないのか?と聞かれるが、私は特にそれに関して不満を持った事はない。お母さんが仕事をして稼いでくれているおかげで、私は今こうやって高校に通っている訳だし、私がこんなに「ARRY」オタクになっても……


「好きな物を追いかけるのは普通の事だよ」


と、笑顔でそう言ってくれるとても理解力のある母親である。本当にお母さんには感謝しかないので、私がやれる事は私がやればいいと思っている。それに、お母さんに任せたら家がどうなるか分からないし……


「ただいまぁ〜!」


いつもの近所のスーパーから私の家まで歩く事数分。いつも通りの時間に家に到着した私は玄関の扉を開けて中に入る。

  すると、私の声に反応して、1人の少女が私の前にやって来てニッコリと笑って出迎えた。


「杏奈ちゃん!おかえりなさい!」


そう言って私を出迎えてくれたのは、中学生……いや、下手したら小学生にも見える女の子である。

  えっ?さっき母親と二人暮らしだって言わなかったかって?そう。実は、この目の前の女の子こそ、私の母親である上原 智子ともこなのである。小学生ぐらいの見た目だが、これでも40は過ぎているし、正真正銘血の繋がった親子である。


「お母さん。ただいま。今ご飯作るから待っててね」


私はそう言って今日手に入れた食品を持ってキッチンへ向かおうとしたのだけど、それをお母さんが慌てて止めた。


「あっ!?ちょっと待って!?ご飯は今日はいいよ!それより……その……ちょっと大事な話があるんだけど聞いてくれる?」


「へ?ん……分かった……じゃあ、これ片付けたらリビングに行くよ」


私がそう言うと、お母さんは頷いて先にリビングに向かった。私はとりあえず買ってきた食品を冷蔵庫にしまい、お茶をコップにいれ、そのお茶を持ってお母さんのいるリビングに向かう。


「あっ!ごめんね!いつも……その……気がつかなくて……」


「いいよ。気にしないで。それより話って何?」


私がそう尋ねると、お母さんは急にモジモジし始めた。その表情は、緊張や恥じらいが混ざっていたが、意を決したのか、お母さんはスッと背筋を伸ばし……


「あのね……杏奈ちゃん。実は私…………再婚する事にしたの」


「へ?」


唐突に宣言されたお母さんの再婚する発言に私は思わず間抜けな声を出してしまった……

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