第4話

ある日、霊感の強い人が、たまたま家の近くを通りかかって、「こんな強い霊のいる家、今まで見たことありませんっ」て、わざわざ言いに来てくれたみたいだ。

家全体を見守ってくれてはる霊も存在しているようなんだけど、自分の部屋でも、毎晩、古文や美術の好きな霊が、自分がふとんに入って寝てると現れて、机の教科書やノートをパラパラめくって見てたり、寝てる自分の上に乗っかって来たりしてる。

そのうち、寝てる自分に、霊は「芸術にもっと意識を高く持ちなさい」って説いているように思えてきた。はっきりと、そう言葉で言ってるわけではないけど、だんだん、感覚的に、そのような事を自分に伝えてはるように思えるのだ。だから、それからしだいに、なんとなく、芸術に対して自分はもっと高く広がるような意識を持つべきなのかなあ~って思うようになっていった。霊のお方の弟子のような感じだ。

ある晩、いつものように自分の上に乗っかって来てるような感覚の時に、意識を高めて集中して、自分の寝てる上のほうを見てみたら、自分と同学年くらいの女子の姿がうっすらと見えて来た気がした。グーッと意識をその、うっすらとした姿に向かって集中してみたら、伊勢という言葉がフッと浮かんで来た。伊勢さんなのか?その女子は?って思った。そしたら、うっすらとした姿も消えてしまって、自分は眠りについた。

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