第6話学園でのお昼1

「ねえ、スティングはお昼どうするの?」


午前中の授業が終わると直ぐにお2人がが側にやってこられた。


「お弁当を持ってきています。お2人はいつも学食ですものね」


教科書などを机に直し立ち上がった。


「だったら、学食で一緒に食べようぜ。別に弁当食べても問題ないだろ?」


「宜しければ御一緒にお弁当を食べられますか?いつも多すぎて余ってしまうんです」


「本当に?」


「それはいいな」


目を輝かせるお2人に、急に不安になった。


量は問題ない。


問題は、味だ。


勿論我が家の料理長は素晴らしいが、今お2人が住まわれている、ガーフィー公爵家は美食家で、国一番と言われる料理長を雇っている。実はその料理長の弟子が、我が家の料理長なのだ。


「あの、味は・・・期待しないでくださいね」


「大丈夫。ビビ」


いやあああああ!!


「カレン様!」


がっ、と睨むと、うっ、と言葉を飲み込見込まれた。


何を言おうとし・て・い・る・の・で・す・か!?


「余計な事を言うなよ。スティング様が困るだろ」


「・・・ごめん」


フィー様が苦笑いした。


「お願いします・・・恥ずかしいですから。では、私がいつも行っている場所でも宜しいですか?」


「今日何食べる?あ、デザートも食べたいな。今出てる、限定バナナケーキが凄い美味しいらしいよ」


「好きなの頼めばいいよ」


「優しいな、ガナッシュは」


視界の片隅で、殿下の腕に絡むレイン殿が見え、胸が痛み、直ぐに背けた。


いつもの事よ。そうよ、もう、慣れたわ。


それなのに比べてしまう私が嫌だった。


これ迄1度も殿下と学食で食べた事がなかった。


あんな、誰が作ったか分からないものを、それも、あんな奴らと同じものを食べるなど、気持ち悪い。


殿下は幼い頃からそう言っていたから、お互い交互にお弁当を持参してきた。


それなのに、


お弁当!?そんなのお母さんが作る時間ないよ。毎日すっごく働いて疲れてるし、私だって家の事で忙しいもん。でも、近くのパン屋で夕方値引きしてるのを安くで帰るから、大丈夫だよ。


無邪気に笑いながら言った、あの日を覚えている。


私でさえ、同情した。


その日から、殿下はレインを食堂に連れていくようになった。


比べる対象が違うのは分かっている。


でも、私が出来なかった事をレインはいとも簡単にしてしまい、羨ましかった。


「・・・あの2人はいつも一緒にいるな」


苦々しそうに言うフィー様が、私の事を思って下さる気持ちが分かり、とても嬉しかった。


「そうですね。もう、慣れました。さあ、行きましょう。時間が勿体ないですよ」


お2人が嫌な顔をしたあと、私を可哀想見てきたので首を振った。


「大丈夫だってば。ほら、小説ではビビが手作りお弁当を作ってくるんだよね?」


「そう!やっぱり分かってくれてたのね」


「分かってますよ。さあ、行きましょう」


お弁当を持ってくると、フィー様が受け取ってくれて、皆で教室を出た。


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