第4話

「あなたたち、どうしたの?」

 御嵩先生がは突然のことにびっくりしている。目は涙目、なぜか。校長はウロウロ。

 スタスタと葵は窓まで行き、窓をバッと開けて外を見たらすっかり天気になっていた。


「天気良くなりましたねー。あ……いや、ちょっと人骨模型を見せてほしくて。美術の課題が出て……お手本にしたいので写真撮らせてもらおうと。先生は準備ですか、授業の」

 御嵩先生の後ろの机には無数のいろんな色の薬剤が置いてあった。

「そ、そうだけど人骨模型出すにも鍵があるから少し待っててもらっていい?」

「はい。校長先生もここでどうしたんですか?」

 校長もなにかと落ち着きがない。葵は彼の靴が先ほどの社交ダンス用の靴だと確認した。


 葵と希菜子は人骨模型の入っている棚の前に立つ。

「よく見るとすごいなぁ、最近の人骨模型」

「だって50000円くらいするんだよね……」


 するとその間に校長も部屋を後にしようとする。しかしそれを逃すまいと


「ひどい、まだ話終わってないじゃない!」

 とヒステリックに叫ぶ御嵩先生。葵と希菜子はこんな御嵩先生を見たことないと驚く。


「し、しらん。ええかげんにせぇ」

「なによ、奥さんが死んだら結婚しようって言ったのにまだ奥さんのことが忘れられずにいるだなんて!」

「うるさい、そんなこと言った覚えもないし。それに人骨模型の件をおおめにみてやったのはわしだぞ!」

「なによ! 奥さんと同じ身長の人骨模型を経費で落として……かなり高かったわ。あとね2人とも聞いて。これ10万もするのよ!」

「ひえっ」

 希菜子はつい声が出てしまった。校長は顔を引き攣らせる。


「しかもこのケースもそれなりにしますよね。いくらこの学校の跡継ぎとはいえ……私物化して。まだ20代後半、世でいうもう結婚適齢期の女性を欺いて、女子校の校長として最低な人ですね」

 葵がそう言うと校長は腰を抜かして尻もちをついた。

「そう、この男は夜な夜なその人骨模型とその社交ダンスの靴を履いて踊る、滑稽な未練たらたらな最低男よ!」

 やはりそうだったか、と葵は自分の推測が当たったと。希菜子も当たった! と自分のように喜ぶ。


「その姿を見た守衛さんに黙ってもらおうとお金を積んでたけど反対に脅されて……相当な額をもぎ取られてるのよね、ほんと哀れな男。可哀想と思ったけどなんとなく吹っ切れたわ」


 と、御嵩先生は人骨模型のケースの鍵をとりに行くため部屋を出た。

「まだ、待ってくれぇえええ……」


 なんともみっともない姿をする校長。葵たちも居た堪れなくなり御嵩先生のあとをついていくのであった。



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