第8話 先生が変わるだけで

同じ病院で主治医を変えたことが初めてだったから、凄く緊張していた


「3番診察室にお入りくださいー」


「あの……初めまして」

「初めまして。カルテと知能検査の結果を見ました」

「はい」

「結論から言うと『その仕事は』」

「え?」

「合ってないので『』」

「(って言われても……生活かかってるのになぁ……)」

「それと、以前、『手帳の取得がしたい』と言ってたそうですね」

「はい」

「障害者手帳取得の診断書書きますね」

「(前の先生だったら手帳は取得させてくれなかった

先生が変わるだけでこんなに違うんだ……)」

「辞めたら早く障害者雇用に移ってくださいね」

「あっ……はい……」


今の職場を辞めることは、働き始めてから思っていた


「精神科に通ってて、家庭も複雑で……でも!!福祉の仕事がしたくて」

「そう。貴方みたいな人に、こういう仕事して欲しくないんだよね」

「え……」


定期的に通院してること、服薬してることもあって、仕事に制限をかけられた

その上、パワハラにサービス残業等の重い心的負荷がかかってしまっていた

『辞めたい』と思っても、『仕事辞めます』だなんて言えなかった


「では、お大事にしてくださいね」

「ありがとうございました」


手帳の診断書をもらって、役所に取得手続きを取っった


「役所から手紙だ……」

『以下の日付に、窓口へお越しください』

「マジで……?先生が変わるだけで、こんなに違うの……びっくりなんだけど」


早く先生を変えていれば良かったんだ

そしたら深く傷つかずに済んだのかもしれなかったのに


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