ヒーローと、先端チョキ挟みと、仕込みスタンガンというパワーワード

赤毛が何かの意思を伝えるように真っ直ぐに目を見ながら俺の顔前で唇が動く…


「ユー…ニー…ヒーロー…胸に…眠る…ーロー…掘り起こ…」


 なんか歌ってる!親戚のおじさんちで見たラクビードラマのテーマソングだ!意味わからない!助けて!

 余りの行動に教室もザワつく。そりゃそうだ。

入学式から教室で、男の上に這うように女が乗ってれば注目の的だ、下手すりゃ一発退学待ったなしだ。


 小声で歌い続ける赤毛を無視し、とりあえず押し退けねばと触った場所が悪かった…双丘だ。いや、丘ではない。2つの巨峰だ。しかも何故かノーブラ。

 犯罪者まっしぐらだが引くに引けずそのまま巨峰を両手で掴み押しのけようとするが、力が入らず、ただタユンタユユーンと果実が揺れるだけだった。

 

「ンヒィッ♥!?ギギギギギギ…!」


 赤毛が歌うのをやめ、下唇を噛みながら歯を食いしばりうめき声を上げている。

 顔がトマトのように真っ赤になり、白目が血走りが走り黒と赤の眼球が揺れながらも目を離さないが、それをジト目で見返す。

滅茶苦茶怖い。あ、俺死んだな。


 このままでは入学からの即退学という、人生終了エンドへ猫まっしぐらだ、赤毛が猫目だけに。

 しかしながら性欲で志望校に落ちた俺は、正直おっぱいを触っているうちに、もうどうでも良くなった。この際ラッキースケベ、もといセクハラを楽しもう。

 俺はどちらかと言えば貧乳派。なぜならおっぱいってほとんど脂肪らしいし、感じにくいのではないか?(妄想)出来ればお相手には感じて頂きたい。 

 だから乳頭デカい派、俺ははぐれスペルマン乳頭デカい派だ。しかし大きいおっばいもいいなぁ柔らかいなぁ♥

そんな事を考えながらモミまくる。


「しゅきききぃぃぃなっらららめなのにぃぃ♥」


 気付いたら俺はおっぱいの先端をジョイスティックレバーに見立て『9478967689…』と超必殺技のコマンドを入力していた。

 中学時代、出来るまで繰り返しやり続けたコマンド。俺は死んだ目でエアー入力を楽しんだ。


「ヒッ!♥ヒギィィィィィッ♥ンギギギィンゴッ♥」


 グリンッと赤毛の黒目が瞼の上に消え、充血し真っ赤になった白目だけになり全身は痙攣し、鼻血が顔の上に落ちてきた。


「オーゥ サスガHENTAIノクニジャペン ショニチ カラ チョーキョートハ ミゴトナ porn布武hubネ」

金髪碧眼がケ○ン語で何か言ってるがシカトする。






ガラララララッバタンッ!


「おい!そこまでだ!お前ら教室で何やってんだっ!?お前ら学校での猥褻行為は退学だぞ!」


 担任と思われる教師の声で我に返り、立ち上がろうとしたら赤毛が机から転がり落ちた。


「先生!これは違うんです!これは…」

これは…なんだろうな。猥褻行為以外のなんだろう?


「フー♥フー♥・・先生・・今のは彼の…仕込みスタンガン…仕込みです・・・気にしないで・・ください・・・・」


赤毛が潤んだ瞳を俺に向けながら、頬を紅潮させ息絶え絶えながら呟く。


 しかし肝心の犯人にである俺には何を言っているのか分からない。 何より仕込みスタンガンって?

  どちらにせよクラスメイトにスタンガン使うって猥褻よりだめだろ・・・兎に角、俺の頭の中にあるのは退学、そして赤毛女に殺される未来しかない。   

 もしくは退学を免れたとしてもこの女の奴隷として3年間過ごすのだろう。

 中学時代の焼き直し学校生活・・・オワタ


「何訳の分からんこと言ってるんだ!仕込みスタンガンとかふざけてるのかっ!!どう見てもわいせつ行為だろうが!」


そうですよね!俺も分かりません。


「フー♥フー♥…違う…この痙攣…ヨー君得意のッ!乳首破壊スタンガンだよッ!…わかんねぇかなぁセンセーよぉっ! …ハー♥ハー♥…」


小刻みに震えながらなんか荒々しい口で返しているが、その熱視線を俺に向けないで…先生の方ちゃんと見て…それに俺は、乳首を破壊しようとはしていないし、そんなことしたら駄目ですよ(切実)

あと、赤毛は何で俺の名前知っているのかな?俺に彼女のような知り合いはいないが…   


「貴様!いいかげんに「だからよっ!乳首がぶっ飛んでっ!」」


そこへ赤毛と教師の不毛な言い争いのに割り入るようにヒョロガリが口を出す。


「先生、静電気の仕組みを知っていますか?人間は電気を通すんですよ?…可能性としてはヨータ君はAEDで先程電力を充電していたようでしてね…」


「もういい!席につけ馬鹿どもがっ!」


 めんどくさくなった先生の一喝により、同じクラスの生徒達も、とりあえず席に着き始める。

 ふと目が合ったヒョロガリがこちらを向きウィンクする。

 確かに助かったけど何で「やってやった感」 出してるのか。


  気づくと赤毛が腰をカクつかせ、内股でフラつきながらこちらに向かって来る。

 いつのまにか血の色が消えた白目に色が戻っている。

 俺の隣の席に腰を落としたかと思いきや、全身をこちらへ預けるように倒れこんでくるので、 抱きしめるように受け止めてしまった。


 俺の肩に顎をのせ、耳元で「ハァーハァー」と吐息が当たり前かがみになる。


「無視するから♥・・わたし怒ってるのにぃ♥…そんな…したら…だかれたら♥…うれしくて・・・・しんじゃうぅょぉ♥・・・」


右手で俺の体を抱きしめるように力を入れながら耳元で囁く・・・いや、抱いているのはアナタですし世界観ついていけないですし…クスリやってんのかなぁ…


「やっと…会えた…わたしのヨォくん♥…わたしのぉ♥…」


「えっと…本当にすいません。どなた様でしょうか?」

なるべく刺激しないよう丁寧に聞いてみた。


しかしその瞬間、何か、ブチンッと大きな音がした。




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