喫茶店『秋雲』事件録

八雲ヨシツネ

喫茶店『秋雲』

 喫茶店『秋雲』は昭和のはじめ頃から続く喫茶店。


 今ではビルの1階に収まる喫茶店ではあるが、珈琲コーヒー色の外装は開店当時のものをそのまま使用しており、昼夜問わず落ち着いた雰囲気をビル街に漂わせる。


 さぁ、珈琲色ドアを開けよう。すると古ぼけたベルが”カランカラン”と心地よい音色で高齢のマスターに来客を伝える。


 店内は明治・大正ロマンのあるランタンやランプ型の照明に統一し、十分な明るさを確保しつつも温かみのある店内になるよう気を遣っている。。

 また、昭和以前の飾り模様付きの曇りガラスと壁にかかった振り子時計なども内装は当時のままであることを来訪者に教えてくれる。


 広さはソファー席が1つ。テーブルが4つ。カウンター席も4つ。

 カウンターは座るだけなら、小物や店名の由来となった船の模型の前にも2つ椅子を置くことが可能だ。

 

 店主は整った白髪と銀の丸眼鏡をかけた男性。

 最近では年齢のこともあり、息子たちが軽食を手掛ける。

 だが、珈琲と紅茶に関してはもう数年だけ自身が淹れ続けるとのこと。


 それが喫茶店『秋雲』である。

 


 

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