第6話これが現実世界

【これが現実世界】

 今の日本国内についてわかったことは、日本のトッププレイヤーはそれぞれのクランに所属しており、上級ダンジョンの5階層を攻略中という事

 その5大クランの中のトッププレイヤーは5-6人でパーティーを組んでおり、

 勇者パーティー、ヒーローパーティ、姫パーティー、女王パーティー、マッスルズパーティーの5パーティー。

 それと国で組織されている『国防軍ダンジョン探求工作隊』。

 この組織は上級ダンジョンの調査、新しく発現したダンジョンやモンスターの調査がメインで、その他に、警察で組織されている、『ダンジョン特殊捜索隊』がある。

 こちらは、ダンジョン内の揉め事、犯罪、行方不明者の捜索を目的としたいわゆるダンジョン内専門の警察やSWATみたいな組織で、両方ともトッププレイヤーと同等かそれ以上のレベルらしい。

 トッププレイヤーのレベルは公表数値が70前後で上級ダンジョンの5階層を攻略中?

 ゲームではレベル70だと上級ダンジョン内では初心者、1―2階層が妥当なはず

「ゆう、レベル70前後で5階層ってどう思う?」

「うん、私達みたいに、ソロとか2人パーティーだときついけど、5-6人くらいのパーティーで連携すればぎりぎり行けるんじゃない? そこはゲームと同じだと思う」

「そっか」

「うん」

「でも、10年も前にできたのに、最高レベルが70で、上級ダンジョンの5階層ってペース遅くないか?」

「そうだよね、10年も前だったらもっと下の階層をクリアしていてもおかしくないと思う」

「そうだよな」

 そんなことを思うとゲーム内とこの世界とは何か違うのか?

 そう考えると俺達のレベルも攻略中の階層はちょっとやばいかも

「やっぱり俺達のレベルはやばそうだよな」

「どうしよう」

「うん、しばらくは様子を見る?」

「だよね、でも他の人達、例えば12神将の人達はどうなったんだろう」

「だよな、俺達以外誰もこの世界にいないってのは おかしいよな、きっと俺達みたいにこっちの世界に来ているプレイヤーもいるはずだよ」

「そうだよね」

「ああ」

「そういえば、かっくんは武器や防具はある?」

「マジックバックに入れっぱなしだから、まだ確かめてない、そうだ、マジックバックは使えるのか?」

「あっ、確認しないで急いで出てきちゃった」

「ちょっと待って 」そう言って、俺は部屋の中を見渡し

「無理だ、ゲーム内の俺が持っていたんだから、現実世界にあるわけない」

「そうよね」

「武器関係から揃えなきゃいけないな」

「うん」

「とりあえずホームセンターに行って、武具として使えそうなものを見てみるか」

「でも、高校が始まって、そういう情報が入ってからの方が良いかも」

「そっか~、じゃあ、学校は始まるまで、暇か~」

「うん」

「ゆうって中高一貫だよな」

「そうだよ」

「だったら、中学3年生ならダンジョンの情報も聞いてるんじゃないか?」

「おそらくそうだと思う」

「なあ」

「友達?」

「うん」

「わかった、呼び出してみるね」

「ああ」

「どうせなら2-3人いた方が色々聞けるかも」

「そうだな、その方が助かるよ」

「うん」

 そう言って、その場で友達にレインをはじめると、次々に既読がついて返信が帰ってくる。

「ねえ、今日の午後にでも会おうと思うんだけど、かっくんも来る?」

「えっ?いや俺が一緒だとまずいんじゃないのか?」

「大丈夫よ」

「でも、ほら、ゆうの彼氏とかにさ・・・・・」

「そんなのいないよ」 

「いないの?」

「うん!」

「そっか、女子でこれだけゲームやってりゃ、そうだよな」

「そういうわけじゃないけど?」

「そうか?」

「うん、だからかっくんもダンジョンについて聞きたいでしょ?」

「ああ」

「じゃあ決まりね」

「本当にいいの?」

「もちろん」

「悪いな」

「ううん」

 俺達はこのまま、電車を乗り継いで待ち合わせ場所に行くことに

「なあ、ゆうの学校って、市ヶ谷だっけ? なんで〇寺駅なんだ?」

「市ヶ谷とか新宿はいろんな人がいて、めんどくさいのよ、まだ〇寺駅の方がそういう人少ないし、ここの方が学生が多いから安心なの」

「ふ~ん」

「ねえ、待ち合わせまでまだ時間があるから、その前にお昼食べない?」

「そうだな」

「そういえばかっくんの連絡先」

「そうだった、ゲーム内でしか話した事なかったんだ、まさか祐子だったなんてほんとびっくりしたよ」

「うん」

 そう言って電話番号といっしょにレイン登録

「これで、お互いに情報交換できるね」

「ああ」

 〇寺駅なんて初めてかも、全部ゆうにおまかせで

 なんというか入ったこともないようなおしゃれなお店に入って席に着く

「ゆうっていつもこんなお店に来ているの?」

「ううん、友達に連れて行ってもらっただけで、私もまだ2回目だよ」

「そうなんだ、でも、やっぱ都会の学校の生徒って違うよな~」

「そうね、進んでいる人はそうみたい、私は違うけど?」

「ふ~ん 」

 メニューを見て、俺はカレーライスの大盛とアイスコーヒー、ゆうは、よくわからない名前の、なんとかパスタにアイスティー、

 2人ともダンジョンの事が気になって、何をどう聞こうか

 そもそも、この世界にいたゆうと友達の関係が、前の世界のときと同じかどうかもわからない、ゆうも不安だ。

「緊張するね」

「ああ、この世界で、ゆうと友達はどんな関係だったんだろうな、前の世界と同じだったらいいけど」

「うん、そうだよね、だからそこらへんからだよね」

「ああ」

「あ~、緊張する」

「悪いな」

「ううん、いいの、どうせ学校が始まったら同じ事しなきゃいけないんだから、今のうちにしておいた方がいいのよ」

「そうか」

「うん」

 お昼を食べ終わって、待ち合わせ場所に

 おたがい緊張しながら待っていると

「あっ、来たよ」

「ああ」

 向こうから2人滅茶苦茶かわいい女子が手を振って歩いてきた、さすが都会の中高一貫校生、皆かわいいんだな

「ゆう、おひさ~」

「めぐも、さよも、おひさ~」

「ねえ、そこの男子、ゆうの彼氏?」

「ううん、幼馴染」

 ハハハ、確かに幼馴染だよな~

「ふ~ん」そう言いながら2人が俺をじろじろ見る

「はじめまして、祐子の幼馴染の高谷勝典と言います」

「はじめまして、ゆうの友達の佐藤めぐみです」

「おなじく、橘さよ、です」

「ねえねえ、今日って本当は、2人でデートだったんじゃない?」

「ううん、そんな事ないよ、めぐとさよに紹介したかっただけ」

「紹介?ふ~ん」俺をじろじろ見ながら

「なるほどね~難攻不落のゆうがね~、そういう事か~」

「なによ」

「まあまあ」さよさんが割って入って話は終わった

「あのね、ちょっと教えてほしい事があってね」

「うん、何?」

「ここじゃなんだから」

「じゃあ、スウィーツブッフェ、行こうよ」

「いいね~」

 よくわからないけど言われるまま3人に付いて行くと、女子だらけのお店に

「ゆう、ここって女子しかいないんだけど」

「そうね」

「そうね、って」

「大丈夫よ、女子専用じゃないんだから、カップルも来るし」

「そうか~?」

「それより、かっくんって甘い物は平気?」

「普通だけど」

「そう、ここね、スウィーツ食べ放題なの」

「お、おう」

 席についたらすぐに3人はスィーツを、俺もその後をついて・・・ケーキばかりはさすがに食べられない、

 プリンとチーズケーキとサンドウィッチっと、

 カレーとパスタもあった。

 なーんだ、そんな事ならカレーライスじゃなくてもっと軽いのにしておけばよかった

 な~んて思いながら席に戻ると

 スウィーツを食べながら、ゆうが話始めた

「あのね、ダンジョンの事なんだけど、来週から高校1年でしょ」

「うん」

「皆はどうするのかな、って」

「えっ? ゆうは、冒険者登録するんでしょ」

「う、うん」

「4人でパーティ組むって約束したじゃない」

「うん、そうなんだけど」

「えっ?辞めるの?」

「ううん、違うよ、登録もするしダンジョンにも行くよ」

「どうしたの?」

「ううん、あのね、彼なんだけど、来週から探求高校なの」

「えーっ、すっごーい、本格的なんだー」

「そうなの、だから、今のうちに彼とお友達になっていろんな情報を教えてもらえたらって思ってね、彼、中学は普通のところだったから、今の時点だと私たちの方が情報持ってるじゃない、だから、私達の情報を彼に教えてあげて、彼が高校に通い始めたら、彼から情報をもらいたいなって思ってね」

「なるほど、そっか、うん、わかった」

 それから彼女たちから色々な情報を聞き出すことができた。最後に、高校に行ってから、時々会って情報交換をする事と、俺のレベル次第だけど一緒にダンジョンに入る約束をしてその日は別れた。

「かっくん、今日、一緒に来てよかったでしょ」

「うん」

「きっと、探求高校はもっと詳しいし、進んでると思うの」

「そうだな」

「だから、学校が始まるまで今後の方針について相談しようよ」

「ああ」

 それから学校が始まるまで毎日ゆうと相談し合い、

(俺は毎日会えてうれしいんだけど)

 俺達のレベルはしばらくは秘密にして、聞かれたらレベル3という事で誤魔化しておく、

 そして武具については学校が始まってから そこから情報を収集してから何をどう取得できるか相談しながら決める。

 おそらくそういう学校だから、学校内でも実習とかでパーティーを組むだろうけれど、本気パーティーは当然俺達2人、

 しばらくは学校が終わってからも情報交換のため、どちらかの家で話合う事になった。

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