第12話 辛い時こそふたりっきり

たっくんのうつ病が発覚し、琴乃家や周辺には大きな衝撃が走った。とりわけ愛央のパパは秘書課に社長代行まで頼んでたっくんのうつ病治療に当たってた。そんな中、あたしとあいちゃんは2人でどうしようか考えていたの。


あい「たったー・・・」

あお「心配だよね」

あい「あい」


悲観的になっていたたっくんに・・・あたし達ができることって、なんだろう・・・。


あい「きゅーぴ、きゅーぴ!」

あお「ポンポン持って遊んでるの?」

あい「あい!」

あお「まって・・・・この作戦、行けるかも?」」

あい「あーい、どーじょ」

あお「ありがとっ!着替えなきゃね、チアユニに!」

あい「あい!」


うちは学校用のチアユニを着てたっくんの布団に向かった。ほんとは3人一緒のベッドで寝るんだけど、最近はたっくんの帰りが遅いこともあってたっくんだけは布団で寝てる。その布団に向かったの。


あお「やっぱ疲れてる。ホームセンターって、辛いんだね・・・」

たく「んあ・・・いまあんじ」

あお「10時45分」

たく「11時30分になったらバイトいかなきゃ」

あお「今日行ったら明日休み?」

たく「いや、明日も行く」

あお「明日愛央とたっくんの誕生日だよ?」

たく「はー誕生日なん」

あお「うん。明日は何時まで?」

たく「8時45分〜13時00分」

あお「辛いことありそう?」

たく「うん」


うちは左手に金色、右手にピンクのポンポンを握って、たっくんにこう伝えた。


あお「たっくんならできる。辛いこともすぐ忘れちゃうよ!」

たく「そんなのが通用すればなぁ・・・」

あお「今日は愛央もついてくよ!ポンポン持って応援しながらね!」

たく「別に来なくていいのに・・・」

あお「もー、いくよ!」

たく「まだ10時50分。家居させろ」

あお「いつも何時だっけ?」

たく「今日は12時から20時。その間休憩45分」

あお「うぅ、頑張るね」

たく「飯代賄わなおいねぇからな」

あい「たったー・・・」

たく「おお、どした?」

あい「でんちゃ、うごかない」

たく「ありゃーそらおいねぇなぁ。・・・電池?それとも普通の故障か?・・・あいちゃん、でんちゃ持ってきてくれる?」

あい「こえ」

たく「あーこれ電池がなくなったんだ。あいちゃん、たったーが今日動くようにしてあげるから待てる?」

あい「あい!」

たく「いい子だね。じゃ、待っててな」

あお「え、いくの?」

たく「買わなおいねぇんだから・・・」

あお「うん!」


家を出たうちは、たっくんの後ろでポンポンを持って、たっくんについていった。たっくんも流石にそのことは気づいてたらしく、うちにこんなことを聞いてきた。


たく「愛央」

あお「なに?」

たく「閉店前に、店おいで」

あお「え?」

たく「メシ」

あお「いく」

たく「んじゃ、行くね」

あお「がんばって♡」


うちは一旦家に帰って、たっくんのお店の閉店時間ギリギリまで、赤色のユニフォームとポンポンを持ってチアの練習をしてた。時間いっぱい、たっくんを応援したい。その気持ちで練習をし続けてた。


時刻は夜7時、閉店まで残り1時間。あたしは白いブラウスに、青色のチュールスカートに着替えた後、カバンとスマホを持って、またたっくんの働くホームセンターに向かった。


店員「いらっしゃいませー」

あお「すいませーん。たっくんって、今どこにいますか?」

店員「あー、匠くんね?」

あお「お願いします!」

店員「琴乃くん、妹さんがご来店です」

たく「俺の予想より随分早いですな。今行きます」

店員「入口で待たせていいですか」

たく「しょーみいま↑から5分あれば着くんでそこで待たせてください」

店員「了解しました」


2分後に急いできたたっくんは、3階で品出ししてたって。でも早くない!?


たく「ごめんなー。待たせて」

あお「(´。>ω<)ぎゅ〜♡」

たく「あっかわらずいい子だよ。うつ病のお兄ちゃんが情けない」

あお「今何してたの?」

たく「品出し。みるか?」

あお「うん!」


そういうと、たっくんは3階まで行った。うちは今日に限って長いスカートを着てしまったし、そのせいで歩くのも遅かった。でもそんなたっくんは、うちのスピードに合わせて3階まで行ってくれた。


たく「怪我せん?だいじょぶ?」

あお「ありがと♡お兄ちゃん」

たく「飯なのにデートコーデ決めてきたからはーおいねぇかなって思ったんよ」

あお「たっくん・・・!」

たく「つか品出しどこまでやったんだっけ・・・」



たっくんは1人で集中して品出しをやり始めた。うちは頑張るたっくんの横で、こう言ったの。


あお「たっくん」

たく「なに」

あお「終わったら甘いもの食べよう」

たく「べつにいいけど」


それからたっくんは45分品出しをしていると、突然愛央に何も言わず奥に引っ込んでった。3分後、戻ってきたたっくんはなんと私服!!え!どういうこと!?


たく「帰っていいって。定時退社扱いにするからって店長が言ってた」

あお「ってことは?」

たく「デートやね、これ」

あお「やった!!」


うちは大はしゃぎ。たっくんはかなり辛いはずなのに、うちと2人でデートだなんて・・・!たっくんの働くホームセンターのすぐ近くにカフェがあって、今日はそこで夜ご飯にすることに。


あお「何食べるー?」

たく「いや俺家帰ったら自炊するし愛央の分だけ食べな」

あお「ありがとう!お兄ちゃん大好き!」

たく「はぁ・・・」

あお「たっくん。うちはいつでも横にいるよ」

たく「あそ」

あお「双子の妹って大変だけど、うちはたっくんの永遠の応援団だもん。うちはいつでもたっくんと2人。そうでしょ」

たく「そうだけど」

あお「うちとたっくんはいつもいっしょだよ」

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