第10話 校外学習はデート!

先生「校外学習のグループ決めするよー」


うちの学校は珍しく10月下旬に校外学習へ行く。今日はそのグループ決めをしていたの!


たく「俺らは3人だよなー」

あお「それなー!うちらはいつでも一緒だよね!」

あい「あい!」

たく「もうすぐお昼だし、先にあいちゃんのご飯をあげちまうか」


そう言ってたっくんはカバンからあいちゃん用のミルクを出したの。各教室にはウォーターサーバーが設置してあって、あいちゃんのミルクを作れるんだって!


あお「わ〜!すごーい!」

あい「しゅごーい!」

たく「よーしできたできた。あいちゃーん。おひるだよー」

あい「あい!きゅぴぃ!」


授業中なのに大丈夫なのかなって思うけど、実はパパが校長先生の許可を得てるって言ってるから大丈夫なの!


たく「すげぇ飲みっぷり。よう飲んでるなぁ」

あお「そうね!お腹が空いてたのかな?」

たく「多分な」

あお「あーいーちゃん」

あい「きゅぴ?」

あお「おいしい?」

あい「あい!」


そうやってあいちゃんのお世話をしていた時、瀬奈が来たの。なんでも、校外学習のグループに誘いたいんだって。


瀬奈「あおっちー」

あお「瀬奈!?どうしたの?」

瀬奈「瀬奈たち3人で校外学習行かない?」

あお「えー、でもっ・・・たっくんとあいちゃんがいるから・・・」

瀬奈「じゃああいちゃんもたくみさんも一緒にどうですか?」

たく「えどしよ。俺愛央とあいちゃん以外の女と喋れねぇんだわ」

瀬奈「今明里と瀬奈だけなんです。3人以上が必須って先生も言うから・・・」


瀬奈はそう呟いた。見た目は普通だけど意外に優しいたっくんはその提案を飲んだのかな?


たく「じゃあ今回だけだよ。瀬奈さんと明里さんだったらギリギリ話せそうだから。俺はあいちゃん寝かしつけてくるから、あんたらで色々話してて」


たっくんはそう言ってあいちゃんを寝かしつけに行った。うちらは校外学習当日に何を着ていくか話してたの!


あお「ねぇねぇ、何着ていく?」

瀬奈「私、紫のトレーナーと白のシフォンスカート着ようかな?」

明里「あたしは黒のブラウスとピンクのチュールスカートにするよ!」

あお「うちやばいかも。何も考えてない」

たく「愛央はいつもの服でも着れば?」

あお「たっくん!おかえり!」

たく「うるせぇ」

あお「あっ・・・よく寝てる?ぐっすり?」

瀬奈「これは・・・寝てますね・・・」

明里「すごいかわいい・・・!」

あお「やっぱりあいちゃんって天使みたい!」

たく「おらみたいによう寝てるわ」

あお「うん。ねぇたっくん、帰りはどうするの?」

たく「あーなんか方南線におじさんがいるらしいからそれで帰るべ。ついでに上がりだしな。飯でも食ってくか聞いてみるべ」


たっくんはそう言ってスマホを見ていると、授業中なのにも関わらず電話がかかってきた。電話の主は先述のおじさんだった。


たく「はいー」

紅野「もしもしー?」

たく「おつかー。あにー?」

紅野「もうすぐ中央駅出るよ。10分くらいでつくと思う」

たく「あいよー。あいちゃん寝ちゃってるからゆっくり来てー。3、4分くらい遅れてもいいから」

紅野「おっけーほなねー」


今日は部活もなく、瀬奈と明里で自主練をしようって話になっていた。うちとたっくん、そして寝ちゃったあいちゃんの3人で先に帰って、後でまた合流する約束をしてバス停に行ったの。それから10分後、伯父さんが運転する方南車庫行が来たの。あれ?この時間、いつも中型車なのに、今日は大型車なんだ・・・。


あお「きたね」

たく「あれなんかいつもとおかしい・・・」

紅野「お待たせしました。大野駅経由方南車庫行です。ゆっくりご乗車ください」

たく「まて、今日って大型なの!?」


たっくんは驚いてた。確かに、いつも来るバスじゃないもん。うちには違いがわからないけど。


紅野「あーなんかね、今日に限ってエアロスターの代走なんだって」

たく「マジかよ。まいっか」

紅野「ご乗車ありがとうございます。15時33分の発車です。発車まで少々お待ちください」

たく「ライナー使った方が早いんだっけ?」

紅野「そうだね。ライナーだと次大野駅でしょ?さらにその次もう琴乃開発だからなぁ」

たく「でもこの31系統もあんま変わらんべ?」

あお「たっくん、何話してるの?」

たく「あー、方南線の系統よ。ライナーが30系統でこれが31系統だろ?大野駅までならライナーが速いんじゃねぇかって話してた」

あお「そうなんだ」

あい「ふぇえぇ・・・」

たく「あ」

紅野「あいちゃん泣き出しちゃったか」

あお「うちにだっこさせて」


うちはそう言って、あいちゃんを抱っこしたの。それで少し抱っこしていると、あいちゃんはぐっすり寝ちゃってた。


あお「もうすぐ時間だし、帰ろっ。たっくんにご飯作ってもらわなきゃね!」

紅野「そうだね。お待たせしました。大野駅経由方南車庫行発車します。ドア閉まります」


そして15分で方南車庫の一つ手前、うちらの最寄りに着いたの。降りる前に、たっくんとおじさんは何か話してた。


紅野「じゃあ後で行くねー」

たく「なにがいい?」

紅野「麻婆豆腐作れる?」

たく「じゃそれにしとくか」

紅野「んじゃ車しまってくる」

たく「ほいまた」


そう言って、車庫にバスを戻してすぐにきたおじさんはパパとまた宴会。うちはチア部の乙女3人で自主練を終えたあとに、たっくんに甘えてた。


あお「自主練終わったー!!」

たく「疲れただろうからマカロン作ったよ」

あお「まずはたっくんにぎゅーするー♡」

たく「相変わらずの甘えん坊だなお前」

あお「えへへ〜。うちはたっくんのチアリーダーだもん!」

たく「あらそうですか」

あお「ねぇねぇ、うち花柄のワンピース着たい!」

たく「買ってあるから着ていいよ」

あお「えっ!?やったー!!」


そう言いつつグループが決まって一週間後、当日の朝に方南高校行のバスで学校へ行くと、そこには大きな観光バスが4台と普通の一般路線車のバスが1台止まっていたの!しかも、見慣れた人がいる・・・。


紅野「おはよー。よく寝た?」

たく「おじさん!?あにしてんのここで!」

紅野「俺5号車の運転手頼まれちゃって」

たく「ってことは・・・」

あお「うちらのクラスじゃん!」

たく「そうなる・・・な。え!?ありなの!?」

紅野「営業所から頼まれたんだからしょうがねぇじゃん」

たく「じゃああれやってくれたら許す」

紅野「おけ」


そして乗り込んだうちらはおじちゃんの運転するバスで、目的地である横浜まで行ったの。宣言通り、たっくんとおじさんはあれもやってくれた。


紅野「おはようございます。本日は方南バスの貸切をご利用いただきまして誠にありがとうございます。このバスは、方南高校貸切バス、横浜みなとみらい、大桟橋行きです。担当いたします乗務員は、方南バス方南営業所の紅野と申します。甥っ子の琴乃匠と琴乃愛央の伯父です。日頃より甥っ子たちがお世話になっております。担任の先生方におかれましては日頃より格別のご指導を賜り、厚く御礼を申し上げます。本日は安全運転に一層努めておりますが、止むを得ず急ブレーキをかけることがあります。また、事故防止のためドアが開くまではお席をお立ちにならないよう、ご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします」

たく「えー本日は方南高校貸切バスをご利用くださいましてありがとうございます。方南96番系統、貸切バス、横浜みなとみらい大桟橋行きでございます。ご案内いたしますのは方南高校の鉄オタ、琴乃匠でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。途中止まります京葉市川PAには9時30分頃を予定しております。トイレ休憩を20分ほど取りまして、横浜みなとみらい大桟橋へと参ります。ご乗車の皆様にお願いいたします。走行中は危険ですので、座席からお立ちになりませんよう、ご理解とご協力をお願いいたします。次は京葉市川PA、京葉市川PAでございます」


バス車内では拍手が沸き起こっていた。そりゃだって、方南バスのプロと放送のプロが集まってるんだもん!


あい「たったー、でんちゃはー?」

たく「まだこないよー。もう少しで見えるかもね」

あお「来るんじゃない?」

たく「多分な」


あいちゃんは電車が来たのをみると大はしゃぎしていた!やっぱあいちゃん、たっくんに似てる・・・!このあと横浜に着くと自由行動になる。うちはたっくんに、お土産を買うか相談してた。


あお「ねね、お土産買う?」

たく「買うか」

紅野「ついたー」

たく「ありがとー。ねぇ、土産いる?」

紅野「いいよ。俺らも自由行動だし」

たく「あそなんだ。じゃまぁテキトーに買うわ」

紅野「おっけー」


そう言ってたっくんはバスを降りた。うちらも続いて降りると、瀬奈と明里は両手にポンポンを持ってたの。反則すぎるっ・・・・。


瀬奈「たーくみさんっ♡」

あお「えっ待ってそれ聞いてない・・・あれたっくんは?」

たく「あいちゃーん。でけーべー?」

あい「あい!」

あお「あれっ。たっくんもうあいちゃんと遊んでる」

たく「愛央ー。置いてくぞー?」

あい「きゅぴー!」

あお「待ってー!」


うちらはなんだかんだいって校外学習を楽しんでいた。パパに焼売を買ってあげたいってたっくんが言ったんだけど、ざっと2週間分の焼売をたっくんは買っちゃった。たっくん、買いすぎ・・・。


あお「こんなに買ってどうするの!?」

たく「え?俺が食べる」

あい「ぱぱとねーねーとあいたんのは?」

たく「それはあるから安心して」

あお「次何買う?」

たく「杏仁豆腐食いてぇな」

あお「食べようよ!愛央も食べたい!」

瀬奈「行きましょ!この近くにいいお店知ってます!」

明里「あいちゃんもくるー?」

あい「あい!」


そして5人で杏仁豆腐が食べられるお店に入った。あいちゃんは小さい子用の杏仁豆腐、たっくんはマンゴー味の杏仁豆腐とバリエーション豊か!うちらは3人でお揃いのいちご味にしたの。


あお「おいしい!」

瀬奈「ね!」

あい「あいたんのおいちいよ!」

たく「おまじ?」

あい「たったー、ちょーだい!」

たく「いいよ。あーん」

あい「きゅーぴ!」


あいちゃんもここの杏仁豆腐には満足してたの!よかったー!


見学も終わり、帰る時間になったのでバスに乗り込んで高校まで帰ってくると、おじさんとたっくんがこんなことをやり始めた。


紅野「ご乗車ありがとうございました。方南高校に到着いたします。本日は方南バスの貸切をご利用いただきまして、ありがとうございました。横浜での食べ歩きはいかがでしたでしょうか。車内にお忘れ物、落とし物、また思い出などお忘れなきよう、ご注意ください。またのご利用を、方南バス社員一同、心よりお待ち申し上げております」

先生「じゃあみんなで運転士さんにお礼を言いましょう!せーの!」

全員「ありがとうございました!」

先生「それで、匠くんからもう一つあるそうで?」

たく「はい。お待たせいたしました。毎度ご乗車、ありがとうございます。次は、終点方南高校です。どなた様もお忘れ物をなさいませんようお願い致します。このバスは、折り返し天川大野駅・天川2丁目・琴乃本社前経由方南車庫行として運行いたします。お帰りの際に、ぜひご利用ください。このバスは、天川大野駅・琴乃本社前経由、方南車庫行です」

あお「えっ!?」

あい「たったー、ほんとー!?」

たく「うん。営業所の人に許可もらったから」

あお「じゃあ乗って帰ろっ!」

あい「あい!」


高校から1640系統に変わった貸切の路線車はたっくんいわく今日だけの臨時便なんだって!だから大型車なんだ・・・。


紅野「お待たせしました。大野駅経由方南車庫行の臨時便です。中扉よりご乗車ください」

たく「1640になってるね」

紅野「回送にするとうちの甥っ子たちが帰るの大変だからね。営業所に手配したんだ」

たく「はへぇー」

あお「ありがとう!」


帰ってきておじさんが家に来ると、たっくんとあいちゃんはパパにお土産を渡していた!愛央はなにも買ってないけど、パパは楽しかったって知ってたの。とてもいい日になったからうちもよかった!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る