第7話 Wao!匂いで発情、サル兄ちゃん

これは、社会人2年目くらいだっただろうか。

もともとの出会いは、「婚活アプリ」だった。


だから、当初は真面目な出会い、のはずだった。 

が、しかし、やり取りを進めていくうちに、いわゆる「パパ活兄ちゃん」ということがわかった。


なるほど、まぁそれならそれで良い。

柔軟な対応が私のウリだ。


職種も近いし、やり取りをしている印象も別に悪くない。

そもそもは、ご飯を一緒に食べて対価をもらうという条件だった。

会わない理由はない。


会ってみるか。

ということになり、仕事帰りに駅で待ち合わせ。


個室の居酒屋さんを予約してくれたとのこと。


職種が近いこともあり、話は弾む。

おいしい料理に、舌鼓。

お酒もちょっとだけ。


その兄ちゃんはお酒に強いのか、ハイボールやらビールやら、いろいろ飲んでいたと思う。


そのせいか、トイレが近い兄ちゃん。

トイレから帰ってきた兄ちゃん、私の匂いを嗅ぐ。


スンスン…レベルではない。


クンカクンカ………

スンスン……

スン、ハー…スンスン!ハァー!


だんだん匂いを嗅ぐ勢いが強くなっていく。


兄ちゃんは、私の匂いを嗅いで発情していた。

股間が、露骨にもっこりはんになっている。


あと1、2時間もすれば終電だ。

ホテルに行く時間としては短いだろう。


匂いで発情する動物には、「ワオキツネザル」がいる。


「お願い!ちょっとだけ!」


「いや、終電もありますし…」


「ホントお願い!」


「明日も仕事なので…」


「興奮しちゃった!だからお願い!」


「約束と違うし…」


「じゃあ、先っちょだけでいいから!入れないから!」


「いや、そういう意味では…」


「じゃあ、口で!手でもいい!」


懇願してくるワオキツネザル。

コイツの前世は多分サル。


前前前世もきっとサル。


「先っちょだけでいいから!」のフレーズを、生で聴く機会に恵まれるとは…


もっこりはんな股間を押さえながら懇願するサルを横目に、しれっと去ル私。


こんなことがあるので、対価は前払いしてもらっている。


危うくサルと獣姦するところだった。

まぁこんなこともある。








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