第12話ifもしも…

グラウンドの端っこのベンチで、マドンナとキャサリンはお昼ご飯を食べていた。

マドンナはサンドウィッチとカフェオレ、キャサリンはお握りと水筒のお茶。

しばらく、2人は黙って食べていた。

そして、2人食べ終わるとキャサリンはセブンスターに火をつけた。

マドンナはチューチューとカフェオレを飲んでいた。


「マドンナちゃん、この前ジャニーとバカ2人連れて、飲んだ時にトイレで私に話した事覚えてる?」

マドンナは、首を横に振った。

「虚数とか実数とか、何か言ってたじゃない!」

マドンナは思い出した。

「あ~、あの話し。わたしにとって恋人は虚数なんです。普通の人なら恋人の存在は実数なんですよ。例え話しが下手でごめんなさい。だから、私には恋人の存在は複素数で表してるんです」

キャサリンは紫煙を燻らし、

「理系の女の子は、難しいこと考えるのね。ま、私も理系だけど。それより、1学期の終わりに異動があるみたいよ!」

「えっ、誰か辞めるんですか?」

「しかも、2人!」

「こんな、中途半端な時期だから、きっとおめでた婚の先生かしら」

「まだ、詳しくは分からないのよね。もしかしたら、バカ2人かも知れないわよ。アハハ」

「面白いですね。ウフフ」



「キョンシー様のお通りだ~!道を開けろ~」

ヒロ坊がぴょんぴょん跳ねて喫煙所に向かってくる。

「あんたら、生徒より子供じゃない?バカなの?」

「うるせークソババア!オレたちは霊幻道士で育ったんだよ!」

「やいっ、キャサリン!君はキョンシー様を侮辱するのかい?貴島キョンシーは最強のキョンシーだぞっ!」

「そんな事より、お二人さん。1学期で辞める先生知ってる?」


「ボク、シラナイアルヨ!」

「オレも知らねぇ」

キャサリンは腕時計を見た。後15分。

「さっ、マドンナちゃん、戻りましょう」

「はいっ」

2人はヒロ坊とトノ様を残して校舎に向かった。男性陣は喫煙していた。

「ねえ、ヒロ坊。僕たちが辞める事がバレるのは時間の問題だな」

「あぁ。福光書店のバイト君から連絡あった?」

「いや、まだ。たまごっちと5万円は痛い出費だけど、彼女ならやり遂げるよ。きっと」

「そう信じるしかないな」

2人も校舎に向かい、歩き始めた。



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