第3話 「図書館」
ケンブリッジ大学はロンドンから北に約2時間半ほどで着く。外観は歴史を感じさせる荘厳な出立ちで、その大きさから伝統や格式を感じさせる。いくつもの天につくように建てられた塔は、大学というよりお城に近いように感じられる。壁は灰色になり、汚れも見られるがむしろそれが美しく感じられるほどだ。入り組んだ街並みと、緑の多さが気持ちがいい。
早速辿り着いたのが、レン図書館だ。この図書館はとにかく広い。そして、大きな窓から入る陽光は本を読むものに知識と心地よさを与える。本棚は、整列した兵士のごとく規則正しく並べられ、その上には著名な偉人の胸像が並べられている。
どこから探したら良いものか。
「アリスさん、とりあえずダーウィンに関わる書物を見てみましょうか。」
「そうですね」
そういうと2人でダーウィンに関わる書物をかき集め、読みはじめた。しかし、何の手がかりも見当たらないのだ。
そうこうしているうちに、日が暮れ始めた。空には雲が太陽の光を遮り、いつしか霧のような雨が降り始めた。今日のところはこれ以上の調査はできないだろう。
「今日はこの辺にしておきましょうか。」
「そうですね。明日も時間が必要でしょうから、この辺に宿をとってまた仕切り直しましょうか。」
私の提案を快諾すると以前、取材でお世話になった宿に携帯電話を使って連絡を取ると予約を取ることができた。
「以前お世話になった宿があるので、今日集めた情報を確認しましょう。」
「ええ、ですが、ここに来たのは無駄足になってしまったかもしれないですね」
確かにアリスの言う通りだ。ただのノートに書かれた落書きで、そもそもダーウィンのいたずらだったのかもしれない。
北にしばらくいくと、二階建ての小さな平らで作られたホテルに着いた。一階のハブで今日の何もない成果の話をし始めた。
「あんなに調べたのに何もなしとは…」
アリスの言う通りだ。あまりの不作に私もがっかりしてしまった。
「アリス、そういえばウエストミンスター寺院の亡くなった月日について確認しましたよね。」
「そうですね。」
そう答えるとアリスは、頼んだフィッシュアンドチップスをビールで流し込む。
「亡くなった年月日の文字を消したページがあったのに、生まれた月日に関わる記載があるページはないのでしょうか。」
アリスは、その言葉を噛みしめるようにまた考え始めた。
アリスはまた、ノートを取り出し、手袋をはめてページをめくり始めた。そして、メモを取り始めた。それを待ちながら、ビールを飲むこととした。
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