第33話 抜け毛と産毛と髪質あれこれ

さて、その髪の毛の抜け方だが、個人差があるようだ。まぁ、照射部位や線量などによるのだろう。へっぽこの場合は割と満遍なく少しずつ減っていった。シャンプーの度に少しずつ抜けていく感じ。また、夜に寝て朝目覚めると枕の上に敷いていたタオルやシーツに髪の毛がちょっと多めに落ちてるので、朝起きたらすぐに掻き集めてポイとしなければならなかった。これは100均にあるコロコロ粘着テープにかなりお世話になった。


ちなみにへっぽこは長らくロングのストレートヘアだったが、同じようなロングのママ友が、ある日「髪の毛を寄付した」とバッサリ切ってきて、「あなたもヘアドネーションしない?」と誘ってきたのだった。


ヘアドネーションとは、伸ばした髪の毛を医療用ウィッグとして寄付すること。小児ガンや不慮の事故で髪の毛を失った18歳未満の子に無償で渡されるんだとか。確かにかなり長く伸びてたし、暑くなって邪魔な時もあったし、それで喜んでくれる子がいるなら、それもいいかな、とヘアドネーション対応の美容院をネットで探してショートカットにして貰った。それから半年程経っての今回の手術と放射線治療。うーん、ウィッグを自分に使うことはなかったが、これも何かの天啓だったのだろうか。あたしの髪の毛は今、どこかの女の子が使ってくれてるのかなと思うと少し嬉しい。幾ら長くたって、その辺に散らばったものを掻き集めてもウィッグには出来ないもんね。ナイスタイミングで決断出来たことに感謝だ。思えば、ヘアドネーションを紹介してくれたママ友も、その一年程前に体調不良だと言っていたことがあった。何か色々考えることがあったのかも知れない。とにかくへっぽこはそこで短くしておいたおかげで、毛は抜けつつも、あまり神経質にならずに済んだのが幸いだった。ちなみに、ある女性患者はロングヘアだったらしいのだが、首の後ろの辺りは抜けずに他が抜けた為に、帽子を被って、その後ろの長い毛を結わえて横に流してしまえば、横から見たら、髪の毛が長いままに見えたと一人の看護師さんが言っていた。また、サザエさんの波平さんみたいになった人もいたとかいないとか。どうがいいのかはわからんが、(いや、抜けないのが一番だが)とりあえずへっぽこは頭だけ綺麗に満遍なく薄くなったので、妹がプレゼントしてくれたコットンキャップを被りつつ、そのキャップもこまめにコロコロして髪をキャッチし、シーツも布団も入院着もヌイグルミたちも仕切りのカーテンも床もコロコロし通して、妙に綺麗好きな人みたいになって過ごしていた。それも、ある程度抜け切ってしまったらあとは安心だ。それ以上抜けないという頃合いがくるから。


話は変わるが、男性用のCMで、抜け毛・薄毛予防のものをたまに見るが、そして実際、へっぽこの身近にも、ずっと髪の毛を気にかけて、そういう製品を選んでた人もいるけど(ダンさん)、ああいうのって効き目あるのかしらん。へっぽこは女だからよくわからないけど、下手に一部微妙に残してるより、ツルツルの方がある意味潔くてカッコいいんじゃないかと思ったりするので、何かの折に「無くなっても大丈夫だよ」と言ってしまったのだが、「嫌だ!」と断固拒否され、「ハ○」という言葉は完全禁句。TVでも耳を塞ぐくらい。いや、今はもしかしてTVでも伏せ字とか禁止用語とかになってるのか?「ピカピカ」とか「ツルツル」も同様。散歩してて、向かいから太陽光を浴びてピカッと輝いてる方とすれ違った時も無言になるくらいセンシティブな話題だった。



ダンさんの父系の家系の男性陣は、皆さん上から見るとちょっと、いやしっかりピカッとする人が多く、遺伝的にアブナイと結婚当初からずっと気にしていて、市販の予防シャンプーとか、ネットで見つけたインディアン云々とか色々試してた。でも、へっぽこが長年見ていて思ったのは、それらはダンさんにはあまり効果がなかったのではないかということ。勿論個人差はあるのでしょうが。ところが何故か最近(令和3年頃から)その薄毛が明らかに改善しているのだ。5年程前には確かに薄かったよなぁ、という所が、上から見ても目立たなくなってる。そのテの割と高価なシャンプーとリンスで、1種類だけ、結構長く使い続けてる物はあるけれど、へっぽこ的にはそれらは直接の理由ではない気がする。


 じゃあ毛が生えてきたのは何故かというと


一言で言ってしまうと健康的な生活だ。


また後に書くが、へっぽこが在宅秘書と家事から戦線離脱し、ダンさんは家事と仕事と大忙しになった。出社時間を早めて、残業は免除して貰えることになり、ほぼ定時帰宅出来るようになった。


また退院後に食事や生活習慣も大きく変わった。別のストレスは増えただろうけれど、それでも早寝早起き、健康ご飯に家事と仕事の両立は髪の毛には良かったようだ。どうりで、世間でも熟年のおばさま方の方が旦那さんより元気で健康そうにイキイキ見えるワケだ。家事とパートと子育てと規則的に頭と身体を動かす生活を長年してきたおばさま方は体力気力が充実してる。近所の公園で見かけるおばさま方は早朝からラジオ体操に励み、ウォーキングにプールに大ハッスルだ。正直、見ていて羨ましい。



あ、ちなみにへっぽこもお蔭で今はすっかり髪の毛が伸び揃って帽子不要だ。でも紫外線と日焼け対策の為に帽子は欠かさないけど。元々美容院は一年に一回くらい行けばいいや、なズボラへっぽこ。苦手な美容院に行かずに済むように髪の毛を長く伸ばしていたくらい。だって長ければ、結ってしまえばアレンジ次第でお洒落にも見せられるし、前髪は自分で切れるしね。OLしてた時からそうだった。椿油を染み込ませて、しっとり整えておけば、ツヤツヤになるから後ろ指指されることもない。でも短いとそうもいかないから、ショートカットが好きな人や男性は大変だなぁと思ってしまう。しかし手術して一回抜けた為に髪質が大きく変わってしまった。元はストレートだったのが、くせ毛になってしまったのだ。美容院の人曰く、そういうことはままあるらしい。だから、赤ちゃんの薄毛をフサフサの剛毛にする為にわざと剃る人もいるんだとか。でも我が家はフワフワの薄いちょぴっとした髪の毛が可愛くてもったいないと、へっぽこが髪切り専用のハサミでチビチビとカットしてたから、息子は男子にしてはフワサラのまま。それがいいのか悪いのかはわからないけど。だから髪質を変えたい人は思い切って剃ったり五分刈り?にしてみるのもアリかも知れない。なんて、そんな冒険はなかなか出来るものじゃないけどね。へっぽこはその後ちゃんと生えてきたけど、それまではやっぱり心もとないし。


というわけで、毛は確かに看護師さんに言われたように抜けた。でも、基本的にはまた生えてくるから(年齢や性別、環境によって差はあるだろうけど)そんなに心配しなくていいという話でした。







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