第39話 登録ですよね? (4)

 小汚い小男は机の上に、自身の両肘を立て、掌に自分の顔を乗せ、表情を大変にいやらしく緩め、ア・リシャーの顔をニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら見詰め。


「でっ、へっ、へへっ」と変な声! 大変に気持ち悪い声まで漏らしてくるから。


(これならば、未だアレンさんと、お話していた方がましだったわ)と、ア・リシャーは嘆く。


 でも、ア・リシャーは先程、この小汚い小男の事を本社の会長直々の声で、『ア・リシャー頼むぞ!』と嘆願をされた。


 だからア・リシャーはここで挫け、挫折をする訳にはいかないから、取り敢えず彼女は、「あっ、ははは」と笑って誤魔化しながら。自身の身体を後方へと反らしつつ。


「……我が冒険者組合・ギルドへとようこそ」と、小汚い小男へと心にもない言葉を告げ、苦笑いを浮かべながら。


「貴方は、こちらへと起こしになられたのは初めてですか?」と尋ねるのだ。


 自身の脳裏では、こんな事を思いつつね。


「(何でこの人は、こんなにも臭いのかしら?)」と。


「(この人、何日湯浴びや水浴び……。自身の身体を拭いて汚れた身体を清めたりしないのだろうか?)」と。


 ア・リシャーは、自分の鼻を摘まんでいたい衝動に駆られながら、不快に思いつつ、自身の業務を続けるのだ。


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