第7話 父 行方不明

父があの日家を出てから半年ほど

行方不明になりました。

帰って来ない時もあったので差程気にもせず母とみあ子とあたし3人での生活をしていた

母は相変わらず夜になると化粧をし

出かけていき、朝帰って来る日や

帰らない日バラバラの生活

みあ子とあたしの二人暮しのような生活

母の機嫌の良い日は500円玉がちゃぶ台に置いてあり500円を握りしめ駄菓子屋に行く事も出来ていた

そのうち長く家に帰らない日もあり

お腹が空いたのでみあ子と庭に生えてる雑草を洗って食べた

酸っぱかった…酸っぱさを我慢すれば

食べれないことも無い

平日は学校の給食があるので休まず学校には2人で行っていた

ただいつも先生に『給食費』を持ってくるように言われていた。

クラスに入ると制服を洗えてない

体操服も給食袋も洗えてない事でイジメにあった

ただ生きる為に給食を食べに学校に行っていた気がする

誰に虐められても涙も出ない

食べ物が食べれるから学校へ行く

ただそれだけだった。

どれくらい父親が居なかったのか覚えてはいないが学校からいつもの様に帰るとブラウン管テレビの音がした

急いで中に入ると父親が居た

『お父さん?』みあ子は言った

父親は『お母さんは?2人とも元気か』

掃除もできていないゴミだらけの部屋を見て何故元気かと聞けるのだろう

あたしは『給食が食べれなくなるから給食費いるって…先生が』と言った

父親は『そうかじゃあこれ持っていけ』と1万円を出てきた。

あたしは給食費を払わなかった

もしもの為にそっと玄関の靴箱の隅に

隠した。心の中では『いつでもご飯食べれる』と安堵した。

みあ子は父にベッタリひっつき『夜もいるよね?ご飯たべようよ』とずっと引き止めていた。それをあたしは何も言えず見ていたが夜になると父は居なかった

あたし達には1万円ある

大丈夫

みあ子を連れて近くのスーパーに行き半額のお弁当を1個買った。

『お使い?偉いね』そんな言葉は無視をして家に帰りみあ子にお弁当を食べさせ

お腹は空いていたが父が家に居た感じが残るブラウン管テレビの前で2人で寝た

毛布にふたりでくるまって

そして朝を迎えた

物音で目が覚めると酔っ払った母が

子猫を2匹連れて帰ってきた

『捨て猫かなぁ。可哀想で』

母が言った

可哀想って感情が母にもあるんだな

気がつけば笑わない子供にあたしは

なっていた

母は『朝ごはんいる?』みあ子は『食べるあのねお父さんがね!』とずっと喋り続けてた母があたしを見て『あんたは本当にお父さんそっくり何考えてるかわからないわ』と一言

自分の中で何かが変わる気がした

母は買ってきたパンをみあ子に渡した

あたしにもパンはあったが食べる気もしなくて学校に行った。

みあ子に聞いたら『お母さんと居る』と言うから1人で行った

いつもの通学路は通らず回り道をして

校門を入る頃はちょうど4時間目が終わる頃だった

クラスに入ると『給食だけたべにきたの?』とクラスメイトに聞かれた

無視をした

無視をすると余計に虐められたが

気にすることも無い

ほっとけば相手も飽きるだろう…そんな気持ちだった

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