最悪から転じる最高の恋愛劇

 八月一日(ほうずみ)なる変わった姓と170センチの高身長がコンプレックスなシューズデザイナー、つぐみ。勤め先の婦人靴店がついに駅前アーケード街へ進出することとなり、店づくりを任された彼女自身も喜び勇むが……その新店の設計を担うのは第一印象からして最悪な六車壱成で。果たしてなかなかうまく転がらない状況が続く中、思わぬ転機が訪れる。

 つぐみさんと壱成さんの関係はまさにどん底からのマイナススタート。そこにはつぐみさんのコンプレックスが思いきり関係しているのですが、その痕になってくれない傷の有り様が濃やかに描き出されていて、読者を超共感させるのですよ。設定を説明じゃなくドラマとして魅せる筆、すばらしいのひと言です。

 加えて壱成さんの人の悪さと誠実さのギャップがまた見事なのです。これはもう、ずるいとしか言い様がありませんよ。

 で。そんなふたりが出逢うとなればもう決まっています。そう、心躍る甘々が生まれ出でるのです!

 恋愛劇をお求めなら、なにを置いてもまずご一読を!!


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=高橋 剛)