21 空泳 天翔の国家論

 美しい言葉遣い。


 行儀。


 一流の教育を受けた、もう畏まらずには居られない神に近い存在、其れがこの国にはおられるのだ。


 こういった御方が、こう国を思っておられる御方がおりなさるから、全くこの国は、終わらない。


 威厳ある。


 国の代表。


 国の王。


 彼等は我々とは違う。


 特権階級だ。


 国に逆らえばもう、彼等からの恩寵は受けられない。


 彼らは、我々の活躍を、成果を、政党に評価してくれているのだろうか、其れは何が基準なのだろうか。


 分からないが、彼らは、確かに国に貢献した人間に、必ず褒美を与える、勲章を与える、国の守り神として、活躍した分野の権威として、必ずその栄誉を証明する。


 彼等がいなければ、活躍しても、褒めてくれる人は居ない。


 彼等に認められて、其処にこの国に対する忠誠心が芽生えるといった処だ。


 其れは、人並みならぬ、卓越した成果、貢献度が必要で在るので、並み大抵の事でなければならないし、外れた、国の害悪に成る思想は廃除さるるものであるが、果たしてどうだろうか、私の考えは国の害にならないだろうか、其れは分からない。


 実際其れは、其れが世に出て確からしい影響を与え、国に貢献しているとなれば、其れは一目瞭然で、世の中が、決める事でもあるのだ、其の分野での活躍が、目に見える、誰が見ても其れは、ニュースになる、其れは、そういった人間は国が認めなくてはならない、そして、もてなして、置かなくてはならない。


 国家権力さえも、利用する恐ろしい頭の切れる人間が居たとして、その人間が傀儡政権、傀儡国家を作り上げていたとして、その政策が間違いかどうかは分からない、国民の意向が反映されなくとも、確かに国が豊かになっていれば、その国政は正解では無いのか。


 弱者のいう事が正しいとは限らず、見識者の発言が、影響力を持つのは、当然の事だ、正しい知識と知恵で、合理的に選択すること、最適な解を選び続ける事でしか、よい国家は作れないだろう、独裁は、独裁するものが、相当の天才で決して私腹を肥やさない、賢人にして哲人にして、進化し続ける勤勉が無くてはならないのだが、果たしてどうだろうか、そんな人間はいるだろうか、稀にいるだろう、そういった人間が何十年、何百年、何千年に一度出てきて、世界を正しく補正するのは知っている。

 例えば、ある国の国民が、自由に、核爆弾だとか、ロケットだとか、スペースシャトル、人工衛星を創ったとして、其れは世界を脅かすものには違い無いが、人類成長、文明の発展には欠かせない、最先端の技術だ、国はこういった技術者を称えるが、使い方を誤れば、即国家反逆罪である。


 それどころか、それほどの技術力があれば、自分で国を、作れてしまうくらいのものだろう、優秀さでいえば、そういった人間の方が優秀なのだろう。


 しかし、国があるのは、国が落ちぶれては居ないからだ、国に其れ相応の権威、言うなれば、威厳、国民の信頼があるから、そういった、国家権力を簡単に破壊出来る兵器が存在しながらも、そういった兵器の所有が国にある所以なのだろう。


 その発動権利も、国がもっているのだが、それほどまでに信用の出来る、国家中枢なのか?。


 其れは、分からないのだ。


 誰にだって魔が差す事はある、ちょっとした事が原因で、国が、世界が滅びったっておかしい事だが、あり得る、あってはならない事だが、其れは、仕様と思えば出来てしまう事で或る。


 この世界の禁忌である。口にするのも憚られる疑いである、誰しもがそんな事は決して起こらないと、そういった事を、認識の裏側で共有している、そんな現実である。


 しかして、国はやはり必要だ。国が無ければ、そう言った兵器、また、戦争を平定出来ない、こういった惨劇は国にしか止められないと言える。


 仮に一個人が、軍隊を持つことを許可され、兵器の製造を許可され、勝手に国を創って、其れこそ殺し合いが許されるとすると、間違いなく、天下を取りに来るだろう。


 人間とはこういった生き物だ、大した理由もなく争い最強に成りたがる生き物である。世界一に成りたがる生き物である。


 模擬戦では無く、実践で本当の意味で世界を取りに行こうと考えてしまうもので在る。


 経済の世界では、そういった事は可能だが、やはり、我々は国を求めている。


 一つの財閥が、其処に所属する人間が自分の所属団体を国の様に思う事が在るが、その所属団体は、国にはなれない、的確にはなれるかも知れないが、商売に於いて自分の国を持つことは、決していいものではない。


 その国の防衛、インフラ、エネルギー、医療制度、・・・。


 しかし、考えてみてくれたまえ。テクノロジーは進化する。


 そう、人間は、進化に限界があるだろう、其れは学習によって知識によって、補っていると言える。


 しかし、その人間のの創ったテクノノロジーは進化、人間の生活様式を、安易に、変容させらるる事が可能だ。


 大抵のこういった、天才。言うなれば世界を変えた人間は、裕福な或る程度夕不服な家庭の生まれで、教育によって、その非凡性を見出され、独学によって、道を築き、新たなもの、価値を創り上げる。


 この世界に、共通なんてものは、数学しかない。


 数学だけは世界共通だ。


 よく、或るのは、物理現象は世界共通か?。


 といった、疑問である。


 此れは分からない。


 以外に曖昧な事が或る。


 確かに九十九点九九九九九九・・・・ パーセントは正しい、正確なのだろうが、若干の、詰まり、百パーセントの完璧さではない。


 しかし、数学は必ず、其の答えにしかならない。或いは、新しい定理、や、演算方法でない限りは、其の儘使える、世界共通のものである。


 世界中の人間が同じ元素記号を使っていたとしても、標準化されていたとしても、其れが全く同じものと言う事はまずないだろう、オリジナルは一つしかないのである。同じ酸素でも、より正確な事は分からない、若干違うのである。


 大まかにはそうなので或る。百パーといって過言では無いが、科学の世界に絶対は無いのだ。


 しかし、数学だけは違う。


 確かに、等しい答えが出る。


 間違いが分かる。


 確かに間違っている。


 その唯一が解るのだ。


 そう、数学は神の学問である。


 もし仮に、この世界中の国が一つの巨大な、国になったとしたらどうだろうか。つまり、大きな企業が、世界企業が、世界中の、インフラを整えられる仕組み、人工知能だとか、自動化装置によって、国の治安だ、制度が自動化し始めたとして、我々の国家は誰のものになるのだろうか、その機械を創って販売している企業のもので、此れ迄の国は無くなって、そういった企業が新しい世界の秩序を作り出すのだろうか。

 分からない。のである。


 この未来は、高校生の時に考えていた事である。


 自動化された未来に、公務員も、国も無くなる。


 國は、その歴史はhどうなるのか。と考えたが、国よりも、寧ろ一つの企業の方が、有力で、その装置を広めさせない国の方が敵になる、国民も、その装置を使って、より効率的にしたい、国役割は無くなっていくのである、孰れ国は要らなくなり、消えていく。


 その、企業の幹部が最高権力者となるからだ。


 そう。


 世界は、一つにまとめられるのだろう。国の歴史は、歴史書にまとめられ、世界は、やはり、そうなっていくのだ。


 つまり、国は古い。


 統治者は、居なくなる。


 従来の社会制度は淘汰される。


 そういった時代の波に逆らった、国は、どうなるのか。


 間違いなく滅びる。


 国民からの、不満で革命がなされ、滅びるのだ。


 核兵器や、強大な力が、恐怖が国民を支配する事は出来ず、国に逆らう国民は、自由を求めている、世界の奴隷となるのが自由か?。


 つまり自動化システムに、国の治安維持、インフラを任せるのが、国民の願いなのか、と国王とその代表は演説した。


 時代は変わりつつあった。


 官僚は、官僚の仕事は機械に取って代わられ、多くのものがその会社の機械に取られた。


 政府は、要るのか。


 機械がやる。


 更にその機械を製造しているのは国家ではない。


 そういった意見から、徐々に国は縮小していき、唯一軍隊と警察、裁判所だけが残った。


 あらゆる事。


 つまり教育もより自由なものとなり、教材は、簡単に取り寄せられる。勉強も機械が詳しく教えるのだ。


 王と、その代表は、殆ど何もせず、国の為にと言う考えがもはや無くなりつつあった。


 國は、頑張った国民、貢献した国民、に恩賞を与える、そうして名誉な事だと、褒章を与え、国の宝だと、国民とご恩と奉公の関係をより一層強める事でしか、国を保つ方法はなくなった。


 国民のモチベーション。


 云わば、競争心を掻き立てる事。


 大会や、コンペティション、科学研究施設、スポーツの競技場、学会、映画館、劇場、芸術活動、出版社、新聞特集、そう言ったもので、上手く世論を操作して、国民を動かす他に、出来ることは無かった。


 いいや、無くなったのである。


 何と言っていいのか、分からないが、自動化システムは、世界を変えてしまうに違いない。


 空泳 天翔はそう言って、国と言うものが、その基本がこういった御恩と奉公で成り立っているものなのだと説いた。


 何にせよ中央政府が腐敗した瞬間終わりだ。


 我々 空泳家あ代々政府の監視にんとして、政府中枢の業務を、監査してきた。


 不正の無いように、我々はもう一つの公安なのだ。

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