第4話

2年生は、決まって金曜日の朝に集会をすることになっている。これは一週間の振り返りや新しい役員の発表などその週によってさまざまだ。

「今日集会あんのか…だる…」

そうつぶやいたのは後ろの席の如月悠。湊の唯一の親友。クラスではすぐになじむタイプで、湊とは正反対だが、ちょっとしたことがきっかけで仲良くなった。

「朝の学年集会だろ?校長の話がない分まし。それくらい我慢しないと」

「まあ、そうだな。でもなあ…」

「やることはしっかりとやる!って決めないと彼女さんに嫌われちゃうぞ?」

「ちゆのことか?あいつなら俺のことをしっかりとわかってくれてるから大丈夫だぞ。それで、ちゆはさあ…」

赤崎千夢の千夢からちゆになったらしい。湊は、いつも、惚気話を聞いているが、いつものことなのであまり気にしていない。

だが湊は、毎回つっこんであげるのだ。

「また惚気か?」

「いや惚気じゃなくて事実を言っただけですけど」

そして反論してくる。これが、朝のルーティーンと化してきている。

(浅倉さんが隣の部屋に住んでる以外は、いつも通りなんだけどなあ…なんか落ち着かない)

「ゆっうくーん!」

「どうした?ちゆ」

「いやー?湊君とばっか話してるなあーって」

「いや、これは…別にちゆを後回しにするとかではなくて…」

「もー。噓だよ~。そんなこと気にしないって」

「また騙された…」

「本当にお前千夢に振り回されてるよな」

「別に構わん。彼女のいないお前には到底わからないだろう?」

「いや、そこまで彼女欲しいとか思ってないし」

「「ほんとにぃ~?」」

「おい、そこのバカップル。そんなにしてほしいなら、しばいてやろうか?」

「そんな怒るなって…」


「廊下に並べよー」


「あ、もう時間か」

「それじゃあまた後で」

「ばいば~い」



「はあ~」

「やっと終わったな…」

「今日7時間授業だったから、より疲れが…」

一応、ここら辺ではトップの高校なので、週に3回7時間授業という地獄が待っている。いくら、2年生になって慣れてきたとはいえど、湊たちはぐったりとしていた。

「見ろよ…」

「浅倉さんか…」

「よくあんなにシャキッとしてるね」

悠が、指を指した方向にいたのは、雪乃だった。雪乃は7時間という地獄に耐えながらも、姿勢は伸びていてプリントの整理や配布をしている。

まるで、疲れを感じない人のようだ。

「まあ…帰るか」

「そうだね~」

「今日一緒に遊ばない?」

「おお~いってらっしゃい」

「いや、湊も来るんだよ」

「邪魔だろ。というか気まずいし。お前らの甘い空気に包まれんの」

「「そ、そうかなあ~」」

「一緒にデレんな。ってか何で悠までデレてんだよ」

「まあ、なんとなく?」

「お前、それ誰にも需要ないぞ」

「そうかな~?」

「同じ言葉を連呼すな!」

「はーい」

「それで?どこで遊ぶの?」

「無難にゲーセン」

「いいね!」

(俺の家とか言われなくてよかった~~)

ふぅ…とほっと一息つく湊であった。

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