2-17:本番直前パーティー練習
「1回戦突破を祝って!!乾杯!!!!!!」
「「「「乾杯ー!!!」」」」
ソロの部に出場してたパーティメンバーが揃って1回戦進出したので、ちょっとした祝勝会をしている。今はまだ15時、私たちの試合予定は20時半~なので、まだまだ時間がある。
『それではGパートを終えたところで、2回戦突破した選手を見てきましょう。まずはAパートからですが・・・』
祝勝会は闘技場周辺に設置されてるフードコードエリア、その中の座椅子形式のところでやってる。フードコードにも大きなモニターがいくつも宙に浮かんでいて試合の様子が流れている。予定より巻きで進んでいるので、いまは振り返りをしているところのようだ。わざわざでかいモニターで見なくても手元に配信画面を映すことができるが、その辺は好みの問題かな。
「あ、リュウセイ落ちてる」
結果の振り替えりを眺めてると、ふと一葉がつぶやく。
「ん、リュウセイって誰?」
「AegisOneの主要メンバーですね。確かSLAWOではタンク担当のはずですから攻撃手段が足りなくて厳しかったのでは?」
「あの人防御特化でめちゃめちゃ硬いから突破できる人少ないと思ってたんだよんね。だから2位にはなると思ってたんだけど。」
「バトロワですからねー。複数人に襲われたんじゃないです?」
「私なら相手が防御特化と知ってたら攻撃は大したことないと踏んで襲いにいくにゃ。移動も遅いはずだから漁夫が来ても離脱しやすいにゃ。」
「たしかに。僕もリュウセイと同じブロックだったら真っ先に狙ってたね。っていうかラン。タメでいいよ」
「いえいえ、私が一番年下ですから。崩すわけには・・・ひゃっ!?」
「むふふー、捕まえたのにゃ!!」
ミナさんがランちゃんの腰に手を回し、ガッチリホールドしてる。猫獣人と犬獣人がじゃれついてるようにも見えてとてもかわいい。
「あらあら、うらやましいですね。カケルさん、私もそちらにお邪魔しても?」
「僕のだから渡さないよ!!」
そういう私もいまは一葉と一緒に添い寝してる。逃がしたくないようでがっつり抱き着かれている。一葉と添い寝して気が付いたけど、もう少し大きく成れば一葉を乗せて走れそうなんだよね。次の封印を解いたら人化の術を使えるらしいから、それを応用して大きくなれたりしないかな。できたらいいな。
「あのっ、パーティー戦の練っ、練習いかないっ、ちょっ!!Mina先輩!!!」
「もう少しラン成分を堪能させるのにゃぁー!」
「ラン成分ってなんですか!?そんなのありません!!」
あの二人、実は家がめちゃめちゃ近いことが判明し、それがわかってからあんな感じでいちゃつくことが多くなった。・・・いや、割と最初からそうだった気がしなくもない。気にしないでおこう。でもいつまでもこうしてるのは暇だし、パーティー戦の練習したい気持ちはある。
「いつまでもここにいても暇だしね。パーティ戦する?それかコロッセオ内を各自探索するか。」
「コロッセオの探索は平日でも出来るから、私はパーティ戦に賛成」
「私も賛成です」
「じゃぁ、多数決でパーティ戦を行うことになりましたー!連携確認もしたいからね。Mina!いくよー!」
「むー、了解にゃ。」
「ふぅ・・・、やっと解放された・・・」
・・・ランちゃん、相当いやだったんだね。でもそんなこと言ってるとまた同じことされるよ。ほら、ミナさんの目はギラギラしてる。ま、眼福なので特に注意しないんですけどね。
闘技場に移動して、カスタムマッチからバトルロワイヤル(パーティー戦)の大会ルールになっている部屋を選択して参加。ソロの時と同じように何もない控室にパーティーメンバーが入ってくる。
「それでは試合前に役割を確認しましょう。ランさんとカケルさんは斥候役をお願いします。敵パーティを見つけたらチャットで連絡してください。状況に応じて判断します。浮いてる人がいたら襲ってしまって構いません。1vs1で負けることはそうないでしょうから。Mina、Kazuhaは私と固まって行動。Minaは前方、Kazuhaは後方の警戒をお願いします。」
「つまり、いつも通りということだにゃ」
「ええ、そうです。ステータス、スキル設定もいつも通りでいいでしょう。今から変更しても合わせるのが大変ですから」
「アイテムもいつも通りだね。罠も使えたらよかったんだけど。」
残念ながら私たちのパーティに罠関連のスキルを使用している人いないんだよね。いたら大分違うと思うけど。
「そればかりは仕方ないですね。スキルがないと設置には時間かかりますし。ランさん、設定完了押してないですよ」
「あっ!?すいません。押しました!」
カスタムアナウンス『全パーティの準備完了を確認。これよりカスタムマッチを開始いたします。』
どうやらランさんが最後だったようだ。恥ずかしそうにしている。アナウンスと共に試合会場に転送される。初期地点は西の森林エリアのようだ。次の戦闘エリアもがっつり西に寄ってる。これはラッキー。本番もこうなら楽なんだけど。
「これは良い所を引きましたね。それではカケルさんは南側を、ランさんは北側の確認をお願いします。私たちはこの場で待機。敵を発見したらパーティチャットで連絡をお願いします。では、行動開始!」
さて、ここからは私は別行動になる。まずは敵の位置を把握しないとね。初期地点は他のパーティーと一定以上の距離が離れるように設定されてるから、魔力感知で索敵可能な範囲に敵はいない。それなりに移動しないとぶつからないようになってる。
魔力を抑えるとかできれば魔力感知に引っかかりにくくなって奇襲しやすいんだけどね。どうやればいいのかわからん。今のところ対策するなら魔石とか魔力を豊富に持つモノをばらまいてデコイにするくらいかな。それでもそれなりに効果ありそうだけど。
そして木の上を伝って移動してると魔力感知に反応あり。こっちに向かってきてるね。チャットで連絡しよう。
カケル『森林エリア南側にて敵パーティーを発見。5人で固まってこっちに向かってきてる。』
Rin『了解です。ダメージは無視していいので遠距離から魔法で攻撃してこちらに来ないように誘導を願いします。』
カケル『了解』
ふぅ、なかなか難しいことをいう。多分できると思うけど。ひとまず彼らの東側に回り込もう。これだけで彼らがこっちに移動してくるなら、誘導は成功。かなり魔力感知のレベルも高いと思われる。
東側に回ったけど、こちらに向かってきてる様子はないね。いまのところ彼ら以外に反応はない。なら、このまま仕掛けようか。狐火・蒼を5つ展開。ウィンドカッターを装填する。MPは大量に喰うけど、移動しながらポーションを使用するくらいは出来るから問題ない。
ある程度近づき、ギリギリ攻撃が届く範囲に入ったらある程度別の角度からウィンドカッターを放ち、5人いるように見せかける。
「っ!マジックシールド!」
さすがに威力が10分1だと、難なく防がれてしまう。即座に離脱。MPポーションを飲む。
「そっちか!追え!」
おお、どうやら上手いこといったらしい。それじゃこのまま姿を見せず、それなりにウィンドカッターで迎撃。おっ、丁度前からも5人。なら向こうにもウィンドカッターを放っておこう。
「どこからだ!?」
「目標発見!」
「お前らか!」
よしよし、擦り付け成功。私はこのまま離脱。拠点側に移動する。MPを回復させてから連絡。
カケル『誘導成功、ついでに東からも来てたから彼らに擦り付けたよ。そっちはどう?』
Rin『流石ですね。ランさんの方で一人浮いてるプレイヤーがいたので倒して貰ったくらいですね。しばらくは暇です』
Mina『暇だニャー』
Kazuha『だニャー』
カケル『ニャー』
ラン『ャー』
Rin『-』
カケル『wwww』
ふふふ、こういうノリもいいよね。こうやって順位狙いだと、結構暇なんだよね。キルを取りたいなら別だけど。
そしてそのまま待機してたらどうやらこちらに移動中に大きく数を減らしてたようで、最後に1戦しただけ、しかも消耗してたところを襲っただけで勝利してしまった。
「さすがにここまで暇だとは思ってなかったにゃ。しりとりしてたら終わってたのにゃ」
どうやら拠点を構えてた人たちでしりとりしてたらしい。ちょっとうらやましい。
「次は積極的に戦闘をしかけていきますか?」
「さすがにここまで暇になるとは思ってませんでした・・・。今回の大会は順位が全てなので、もう一回同じ感じでいきましょう。今回の試合は相当ラッキーだったというだけです。」
「だよねー。ここまで暇になることあるんだねって感じだよー。僕も消化不良だけど、本番が近いからそれでいいよ」
「みなさんそれでいいですか?」
みなそれに頷く。
ということで、その後数回練習を行い、残り時間は各自自由に過ごした。あ、もちろんあんなに楽な試合はその後なかったよ。さすがにあれはラッキーすぎた。私は練習後、疲れたのでログアウトして休憩し、久しぶりに晩御飯を作った。いままでずっと一葉に任せっきりだったからね。やっと家事できるようになったのさ。
大会アナウンス『参加者全員の設定完了を確認。既定の時間になりました。それでは来訪者最強決定戦パーティーの部 第一回戦を開始いたします。』
そして準備を万全にしていよいよパーティの部が始まった。頑張るぞ!
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