1-7:魔力操作の練習

南の平原にて


 さてと、借りてきた『魔力操作のコツ!』を開いてっと。最初の取っ掛かりが出来たら次は循環か。循環させると体に魔力が馴染むらしい。これをしておくことで、魔法発動時の魔力ロスが減り、魔力で身体強化した時の上昇率が上がり、魔法への耐性がが上がったりと色々といいことがあるらしい。全身に循環させればさせるほどいいと。


 えーっと、循環するときは魔力器官を基点に胴体内を時計回りに循環させて、それに慣れたら右腕も含めて循環、それも出来たら両腕、次は右脚、その次は両脚、そして最後に頭を含めた全身という順番ね。それぞれ一周三秒以内にできるようになったら次の段階に進めばいいと。魔力の動きをイメージしにくい場合は手を体に当てて、循環させたいルートをなぞっていくとやりやすいのね。この辺は人が多いから人が少ないとこに移動しようか・・・



 うん、この辺でいいかな。


 さて早速循環させてみよう。まずは魔力器官から魔力を取り出して・・・、サポート無しだとやりにくいな。魔力器官の付近をさすって魔力を出して、胴体内を循環させる・・・・あっ、失敗した。結構難しいな。


 手を体に当てて魔力器官から時計回りにぐるぐるとまわして・・・これじゃ早すぎるな・・・、もっとゆっくりと・・・。って、これ周りからみたら自分の体をひたすら触ってる変な人じゃない??なんか、明らかに「何してんだあいつ」って感じで見られてるし!!恥ずかしいっ!これは宿屋でやろう


 さて、宿屋に帰って来たので、再び練習っと・・・。最初はゆっくりと・・・ゆっくりやって・・・よし!一周は出来た。これをサポートなしで回せるように繰り返すか・・・



 ふーっ、とりあえず手での補助なしに循環できるようになったな。まだ胴体だけだし、まだ一周に10秒くらいかかるけど。っと、もう昼か。・・・なんかゲームなのに鍛練してるな。


 まぁ、慣れてるし、こうして成長を感じられるのは楽しいからいいけど。普通はギルドの依頼をこなしたり狩してレベル上げしたりするんだろうなぁ・・・。私はその前段階で止まってるんだけど・・・。とりあえず夜までに胴体と両腕での循環できるようになるのが目標かな。狩りはまぁ・・・ホーンラビットくらいなら何とかなるでしょ。


 一旦ログアウトして昼飯を食べようか。



「ふぅ・・・、昼用意するかぁ・・・あー、ピザトーストでいいかな。」


 食パンを二枚取り出して、カットしたウィンナーとピーマンと玉ねぎを乗っけて、ケチャップかけてとろけるチーズを上に被せてっと。で、これをトースターにいれて5分くらいにセット。で、その間にコーヒーを用意してっと。


 これで準備は終わり。・・・一葉は大学終わっていま事務所に向かってるところかな?・・・通話したいけど、邪魔になったら申し訳ないからいっか。どうせ夜に会えるしね。


チンッ!


 おっ、焼けた焼けた。皿にのせて、テーブルに持ってってと。んー、美味しい!!

でもやっぱ、一人で食べるのは寂しいなぁ。早く帰ってこないかなぁ・・・。はぁ、テレビも特に面白そうなのもやってないし。


 あっ、一葉ニュースになってる『元AegisOneエース、Kazuha、なんと男の娘だった!!』『GirlsAnthem、新メンバーはまさかの男の娘!』『プロゲーマーKazuha、MMORPGでもその実力を遺憾なく発揮!!』『プロゲーマーKazuhaの彼女はどんな人!?』


 こうやって自分の彼氏がニュースになってるのは嬉しいね。私の彼氏は凄い人なんだって感じがさ。ま、彼の足を引っ張らないようしっかりしないとね。このまま結婚までしたいし。


 さーって、午後もまたSLAWOやるかー!


 先ほどログアウトした宿屋の中で目が覚める。


 よしっ、さっきの続きをしよう。一葉に置いてかれたくないし。



・・・3時間後・・・


 ふぅ・・・流石に疲れて来たな・・・。息抜きに狩してこよっと。折角だしギルドで依頼受けてくるかな。


 宿屋を出て冒険者ギルドに向かう。


「こんにちわー。依頼を受けたいんですけど、ホーンラビットの討伐依頼ってありますか?」


「カケルさん、こんにちわ。討伐ではなく納品依頼ならありますよ。ホーンラビットの肉と毛皮がそれぞれ10個ですね。両方受けますか?」


「はい、それでお願いします。」


「かしこまりました。では処理しておきますね。はい、受注処理完了しました。期日はありませんので、用意出来たら持ってきてください。」


「了解です!」


「はい、気を付けていってらっしゃいませ。」


「行ってきます!」


 さて、ホーンラビットは西の平原だったな。移動しようか。

 冒険者ギルドを出て西の平原に移動する。


「よーし、やるぞー!」


 西の平原についたので近くの全長50cmくらいのホーンラビットに狙いを定める。


「おっとっ・・・よっ!」


 ホーンラビットに近づくと、尖った角をこちらに向けて突進してきた。


 身体を横にしてかわしつつ、角を掴み上から頭を殴りつける。


ボキッ


ピコン『ホーンラビットの角×1』を入手しました

ピコン『ホーンラビットの肉×3』を入手しました

ピコン『ホーンラビットの毛側×3』を入手しました


 すると角が折れて本体は地面にたたきつけられる。まだ体力は残っているようでフラフラしているが、思い切り頭を踏みつけて体力が0になる。


 ドロップは、ホーンラビットの角、肉、毛皮か。倒し方によってドロップ品が変わったりするのかな?次は胴体に狙いをつけて倒してみるか。


「よっ、おらぁ!」


 獲物を探して歩いてると、次の獲物がこちらに突進してきたので、さっきと同じように体を横にして回避し、下から思い切り蹴り上げる。


「ピュギィ!」


 痛そうな鳴き声を上げているが関係ない。そのまま空中に飛んでるホーンラビットの胴体を狙って上から殴り、地面にたたきつける。これで死んだようだ。

 えーっと、ドロップは・・・肉だけか。


 その後目を抉ったり尻尾持って振り回したりと色々なパターンで倒したが、一番ドロップがいいのが、角を折って頭を潰すことだったので、そのパターンで倒していくことにした。



ピコン『レベルが5に上がりました』

ピコン『無手格闘術のスキルレベルが2になりました』

ピコン『タスク DEXを20以上にするをクリアしました。残りタスクは2つです。』


 それから1時間ほど狩りを続け、レベルが5になり、無手格闘術のスキルもあがった。取得した20SPはDEXに10、あとはいつも通りだ。



「ふぅ、素材も集まったし戻るか。」


 最終的に集まった素材は、ホーンラビットの角x20、ホーンラビットの肉x50、ホーンラビットの毛皮x30となった。


 ギルドに納品に向かうと、依頼3回分の消化できるようなので、3回分消化してもらい、依頼報酬で9000z、残った角と肉、あとスライムゼリーも預けておく。


 っと、もう16時か・・・。この後は宿屋に戻って魔力操作の鍛錬を1時間くらいしたら晩御飯の準備しよっか。



 その後、宿屋に停まり、魔力操作も結構なれてきて補助無しで胴体と両腕での循環が出来るようになったところでログアウト。明日はこれを3秒以内にできるようにして、次のステップに行きたい。段階を踏むごとに操作になれてきて、ペースが上がってきているから、循環はあと2日もあればいけそう。



「ふぅ・・・一葉は・・・17時っていってたけどまだ帰ってきてないな。LINK送っておこう。何時に・・・帰ってくるの?っと。」


 んで、今日の晩御飯は何にしようかなー。なんかカルボナーラの気分だからカルボナーラにしよう。

 とりあえずパスタを塩ゆでしておく。その間に前作ったソースとベーコン・玉ねぎを取り出す。ベーコンと玉ねぎはカットしてオリーブオイルで炒める。


ピコン『もうすぐ家につくー!』


 おっ、丁度いいタイミングだね。今日の晩御飯はカルボナーラだよっと。


 して、ある程度炒めたらソースをフライパンに入れて程よく温まるまで火を通す。その間に湯で終わったパスタを湯切りしておき、ソースが温まってきたら火を止めてパスタを入れ、ソースを絡めていく。

程よくソースと絡まったら皿に乗せて完成。


「ただいまー!!んー、美味しそうな香りがする!」


「おかえりー、丁度いま出来たところだよ」


「やったー!翔のカルボナーラ好きなんだよねー!」


 ふふふ、この笑顔が見られるというだけで役得というもの。ダイニングテーブルに料理を持って行き、席に着く


「「いただきます」」


モグモグ・・・


「んー、美味しい!!」


「それは良かった。今日はSLAWOやるの?」


「やるよー!あっ、そうだ!翔が良ければ今日一緒にプレイしてるところを配信に乗せようと思うんだけどどう?」


「ん?まぁ、いいよー。普通に狩りするだけでしょ?」


「そうだよー。今日はゴブリン狩りして、いけそうならウルフもやりたいけど。レベルはどれくらいまでいった?」


「いまは5だよ。なんか種族クエスト?ってのが出たからそれ進めてる。」


「え!?何それ!?気になる!!」


「えーっと・・」


「あっ、待って待ってその話は配信でしよう!多分初出だしね!」


「そう?わかった」


 その後ご飯を食べ終わり、皿を片付け、久しぶりに一緒に風呂入った後、SLAWOを起動した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る