第56話 自分 14

ソーシャルゲームである新信長の野望のベースは


私が仕事上最も難航した『信長の野望・創造』であった。


オンラインだけでは無く、オフラインのゲームも担当となり


私はコーエーのメイン担当となって、私をスカウトした相方と


共に働く事になった。PC専門雑誌であった『ログイン』の


コーエー担当にもなり、私の担当は主に攻略やインタビュー内容、


企画、編集者に出す前の編集等を担当する事になった。


元々日本人はシミュレーションゲームが苦手である。


シミュレーションゲームは会社でも皆が敬遠していた。


理由は時間がかかる上に、攻略でつまずき、期間内に原稿を

出せない事になりやすかった。


そして何より、時給に換算した場合、割りに合わなかったからだ。


相方はクロスレビューもしていた。しかしゲームがそれほど得意では

無かった為、私に意見を求める事は多々あった。


あるシミュレーションゲームがクロスレビューで出た時、私は変わりに

攻略して出来栄えや、平均難易度などの話をまとめて教えた。


そのシミュレーションゲームのデータを会社のそのゲームの担当者に

見せたら、是非うちに欲しいと言われたと私に伝えてきた。


担当者のそのゲームクリア時間は50時間以上であったが、私は20時間

程度で全てのクエストやその他諸々をクリアしていたからだった。


自分たちの記事が載るまでの、一連の流れを説明すると、まずは

開発会社(コーエー等)から素材である基本データと画像が送られてくる。


そしてまだ開発段階のプロトタイプのようなゲームが送られてくる。


当然、敵の強さや難易度等も大まかである為、クリア困難な場合が多い。


そしてその後、約一週間内に、更に調整を加えたゲームが届く。


この時点でも修正点は多い。私はそのゲームをクリアして、詳細な調整データを

コーエーに送るよう相方に手渡した。


相方は今までも、他の開発会社等に意見を出した事はあっても、実際はそのような

物を開発会社は受け入れる事は無いのが、現状だと言った。


それを最初に私に言い、コーエーに調整データや変更点等を送った。

私が受け入れられないと、ショックを受ける為の配慮であった。


しかし、私の詳細な調整データや、絶対にクリア不可能な戦闘等の詳細なデータは

コーエーは受け入れ、「非常に参考になります。ありがとうございました」と

返信が来て、相方は驚いていた。


受け入れられる前例も無かったが、更にプライドの高いコーエーが受け入れた事に

凄い凄いと連呼していた。


私はコーエー内部では、例の人と呼ばれていると相方から言われた。


信長の野望オンラインに毎年ある当時は、PVPの戦いだけでポイントを稼ぐお祭りの大戦である東西合戦が二週間かけて行われていた。


私はPVPは大好きであったが、リーダーの役目や仕事上、第1回、第2回は出場できなかった。そしてPCサーバーが追加され、私は仲間を説得して、より濃い戦いが

でき、過疎化もしないPCサーバーで新たに始めることにした。


そして第三回東西合戦が近づいてきた。私はメンバーにも相方に仕事の調整をしてもらい、ソロで2週間やらせてほしいと頼み込んだ。


装備は自前の装備は持ち込めず、レベルは皆、Maxになる為、平等な戦いである為、

好戦的な私は、通常の合戦も好きでよくソロで参加していた。


負け戦が大好きで、私が前線を押し上げていくのが、たまらなく気持ち良かった。

しかも、東西合戦では確か千名のプレイヤーが、東西の国の連合軍として別れて

戦う大戦だった。


私は第三回にして、ようやく東西合戦に出れることが決まった。





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