第10話 二人の心の想い〜転校先は不良(ヤンキー)校!?

ある日の学校帰り。


みんなとは別行動の日の事だった。


用事で街に寄って、今から帰ろうとした、その時だ。



「彼女」



グイッ

突然に肩を抱き寄せられた。



「きゃあ!」

「君、いくつ?」

「えっ?16ですけど……」

「16?へえー…」



その男の人は上から下まで舐め回すような視線でジロジロと見る。




《何…この人…気持ち悪いな…》

《何の目的?体?》



「何ですか?人の事、ジロジロと…気持ち悪っ!」


「あー、ごめん、ごめん。ていうか君、ハッキリと言うね!」


「いや…だって気持ち悪いから気持ち悪いとハッキリ言わなきゃ!つーか、離してもらえますか?」


「ちょっと付き合って!」


「な、何?」




グイッと手を掴み強制的に連れて行く。




「ちょ、ちょっと!やだ!」


「良いから、良いから」


「いやいや、良くないし!ちょっと!マジいい加減にして下さい!」




私は振り解き走り去ろうとしたが、すぐに捕まった。


グイッと肩を抱き寄せ




「初めてじゃないんでしょう?」


耳元で囁かれた。




《何?やっぱり、そういう目的?》




私は、ひじ鉄をし走り去った。




《私…そういう子に見られてるのかな?》


《男子校に通っているから?》




私は色々な事が脳裏に過ぎる。




軽い女?



遊んでそう?



――――泣きそうになった



ふと足を止める






「……………」




「あっ!いたいた。君、強いね?もっと気に入った!つーか、すっげー、痛かったんだけどなーー?」



「………………」



「さあ、行こう、行こう!」



そう言うと、再び連れて行き始める。




「私は、そんな子じゃありません!」


「えっ?」


「やらしい目で見るなっ!スケベ野郎っ!」




ドカッ

股間を思い切り蹴った。




「…っ…」




私は、そのまま去り始める。




次の瞬間、グイッと両手を掴まれる。



《えっ…!?》



どうやら、仲間と思われる奴等を連れて来ていたようだ。




「連れて行け!」


「や、やだ!離し…」




「その子から離れろや!」



《…えっ…?勇真…君…?》



「何だ?お前」


「彼女の友達やけど?」



「……………」



「友達かー…。じゃあ君から言ってくれないか?すぐに終わるから付き合ってくれって」


「…何で俺が?」


「友達だからだよ」



「………………」



「…友達でも言えるわけないやろ?」


「どうしてかな?」


「友達を傷付ける事はでけへん!」


「今の子達は経験豊富じゃないか?」


「何やて!?つまり…それって…彼女をそういう目で見てるっちゅー事なんや。そいつは、ちゃう!」




そして、私の前に来ると、相手を押し退けるようにし引き離した。


「野郎っ!」

「退きな!」



そんな中、スッと勇真君は私の手を掴む。



ドキッ




「逃げるで」


小声で私にだけ聞こえる声で言う。



「えっ…?」


「ええな」



私は頷く。





そして、私達は走り去る。




「おいっ!追えっ!」



私達は、とにかく走り逃げる。


そんな中、後ろから追って来ているのが分かった。


いろな脇道を入り逃げる。




「……キリがないわ…ちゅーか、しつこいねん!すまん、希美ちゃん、ちょっと…」


「えっ…?」




私を壁に押し付けると両手で道を塞ぐと、私を隠すように、はたから見たら、キスをしているかのような状態だ。


至近距離。



《わわ…ち、近い!》




「…………」



「…何とか撒いたようやな」




私は、そんな事より、この状況で、心臓バクバクだ。


相手から逃れた安心感を含む中、体勢に耐えれず、ゆっくり腰をおろす。




「…希美ちゃん?大丈夫か?」




「………………」




私と同じように、腰をおろす勇真君と視線がぶつかる。



ドキン…



「……………」



「…アカン!そんな顔されたら…」

「えっ?」



そんな勇真君は、顔が赤いように見える。




「顔、赤いよ」

「お前もやろ?」

「私は大丈夫だよ」

「いやいや…絶対赤いはずや!」

「赤くありません!」



私は立ち上がる。


次の瞬間、私の体がフラつく。


立ち眩みだ。


急に立ったからだろう。



そんな私の異変に気付いたのだろう。




「大丈夫か?」


「うん…ちょっと…急に立ち上がったから立ち眩み……」




ドキーーッ

のぞき込む勇真君の至近距離に胸が大きく跳ねた。



「わっ!すまん!」

「あ、ううん…」



「……………」



「か、帰ろう!」


「そ、そうやな」




変な空気感。



「あっ!助けてくれてありがとう!」

「えっ?あ。ああ。たまたま見かけたからな」

「そっか…じゃあ…勇真君が来なかったら私…」


「あー…そうやな~。奴等、ヤバそうな奴等やったからな」


「そうだよね。それにしつこい奴等だったから」


「それは、確かやな。あれは、絶対ヤバイ勧誘やで?」


「クスクス…そうだね…」




グイッと抱き寄せられた。



ドキッ



「ホンマ無事で良かったわ…」

「勇真…君…」

「お前、無茶するから、ホンマ、ハラハラやで?」


「余り目立った行動は控えるようにしてるよ。だから大丈夫!」


「いや…そうやろうけど、お前、可愛いから世の男が放っておかへんのや!」


「えっ…?」



抱き寄せた体を離す勇真君。


そして、スッと私の手を掴むと歩き始めた。



ドキン…



「…お前の事…好きかもしれへん…」



ドキッ



「…えっ?」



足を止める私。



「せやけど…自分の中で、ハッキリと、お前が好きや!って言えるまでには、なってへんから…」



そんな勇真君も足を止めた。



「だから…もう少し待っててくれへん?」


「…勇真君…私も…勇真君の事が好きって言える女の子になるね♪」


「お、おうっ!」




私は、勇真君の頬にキスをした。



「わ…いきなり何すんねん!」


「クスクス…約束のキスと助けてくれたお礼のキスしただけだよ」


「不意のキスは反則や!」


「私もキスしたの初めてだよ」


「いやいや…お前、絶対、彼氏おったやろ?」


「それが、男の子みたいだから友達以上は進展しなくて、告ったら、あっさりフラレた。だから…本当は…」




キスされた。



ドキン



「俺は、絶対、そうさせへん!」



ドキッ



「…勇真…君…」


「だって、お前は女の子やし、可愛いで!だから…絶対好きになる自信ある!」


「じゃあ…約束だよ?ファーストキス奪ったんだから!」


「お前かて俺の唇奪ったんやから、お互い様や!」




私達は抱きしめ合う。







――――そして――――




     本当の気持ちに




        気付く事件が




      私達に




             起こるのだった――――








「やっと…出れたぜ…久しぶりの外…さあ…楽しませてもらおうじゃねーか!」







魔の手が


     そこまで


         

           来ていたのだから―――























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