第35話⁂翔の真実⁈⁂


 障害児施設〔レインボウ🌈〕には、翔とは全然似ていない多毛症の子供がもう一人いたらしいが、同じ施設に2人。

本当は柳田組長の息子なのだが、理事長の兄の息子にさせられている翔と、もう1人多毛症が居たってどういう事?


 20年前の夏の〔七夕🎋会〕の日に障害児施設〔レインボウ🌈〕で起こった15人も殺害された凄惨な事件で、生き残った連中の1人と偶然にも知り合うことが出来た直樹は、その1人から多毛症が2人居た事を聞いた。


 だが、葵は障害児ではないから障害児施設〔レインボウ🌈〕には入所していない。

 交通事故で取り返しが付かない顔になってしまったので、入院中の大学病院で偶然にも聴覚障害の勇と知り合いになり、障害児交流会に参加していただけなのだ。



 早速、美咲と直樹は新しい情報を元に真剣に話し合っている。


「同じ施設に2人も多毛症が居るなんてビックリだね!確かに毛がふさふさしていて、入所者の誰もが、まともに顔を見た事が無いと言っているんだよ。んまぁ~?はっきり見た事が無いのだから、何か秘密が隠されているんだよ。きっと!顔を見られたくない理由が有るに違いない。それから…その男の子は個室だったので、親しく付き合っていた奴は殆どいなかったらしい……只…障害児施設〔レインボウ🌈〕の施設出身者?施設に顏をよく出していた人物?で、あの仮面舞踏会に出席していた美女とは、凄く仲が良かったみたい?」


「あの仮面舞踏会に出席していた美女とは、一体誰なのかしらね~?〔オオカミ怪人〕を探して欲しいと依頼にやって来た麗奈だと思っていたけど………?それから……もう1人の多毛症の格好をした翔は、最初こそ虐められていたが、障害児施設〔レインボウ🌈〕の実質上の経営者柳田組長の息子で、理事長の兄の息子という事になって居るから威張り散らして、ボス的存在だったらしいから………入所者の誰もが、まともに顔を見た事が無いと言っているその男の子では絶対にない筈………個室だったので、親しく付き合っていた奴は殆どいなかったらしいその男の子は、辰也なのでは?そしてあの仮面舞踏会に出席していた美女と凄く仲良かったって事は、仮面舞踏会に出席していた美女は、ひょっとして夏美?何か………そこに盲点があるのでは?」



 ◆▽◆▽◆▽◆▽


 葵はどこに消えたのか?


 ある日突如として、人々にもたらされた真実なのか、それとも只の都市伝説なのか?

 まことしやかに囁かれる、毛むくじゃらの”オオカミ怪人”の噂。


 また、真夜中に響き渡る美しいバイオリンの音色。

 葵はもうとっくに、この世のものではなく、あのバイオリンの物悲しい美しい音色も誰かが、代わりに弾いていたのか?それともCDから鳴り響いていただけなのか?


 役割を終えた名バイオリニスト葵は、口封じの為に消されてしまったのか?

 そこには何か、そこはかとなく暗い闇が?


 二〇一五年四月某日のある日、東京都台東区浅草に有る、この〔OUGI探偵事務所〕に「最近巷で評判の”オオカミ怪人”を探して欲しい!」


 この椿辰也と名乗る男性は〔DREAMエンタープライズ〕というイベント会社経営の社長らしいが実態は定かではない。


 何とも怪しげな風貌の目深に中折れハットのホンブルグを被り、更にはサングラスの為、ハッキリとした年齢や顔形は確認できなかった。


一方の妻で麗奈と名乗る女性は、ス-パ-モデルのような高身長に加えて、小顔の八頭身美女で、こんな下町情緒溢れる昭和感漂う街並みには到底ふさわしくない、それこそ有名雑誌から飛び出して来たような美女である。


「あの椿夫婦、何か変だと思わなかったか?『最近巷で評判の”オオカミ怪人”を探して欲しい!』て言って来たけど………まず…?夫婦と言うのも怪しい………あの椿辰也と名乗る男性は〔DREAMエンタープライズ〕というイベント会社経営の社長らしいが、その住所にいつ行っても『社長は只今来客中で手が離せません。又は外出中です』そんな事ってある?可笑しいと思わないか?それって………社長の顔を知られたくないって事じゃないか?それから…あの社長、顔を隠すようにしていたが……手が妙に毛むくじゃらだったぞ~!そして…一方の妻で麗奈と名乗る女性は、ス-パ-モデルのような高身長の八頭身美女だったが、ストッキングからにょっきり毛が一部分出ていたんだ………だからやっぱり障害児施設〔レインボー🌈〕に入所している弟の姉で性同一性障害麗奈なんだろうか?」


「椿辰也と麗奈が障害児施設〔レインボー🌈〕で親しくなり何か訳があって”オオカミ怪人”を探し出して欲しいと言って来たんじゃないのかしら?」


「ひょっとして復習の為に夏美と辰也が、20年前の夏の〔七夕🎋会〕の日に障害児施設〔レインボウ🌈〕で起こった15人も殺害された凄惨な事件で、生き残った連中とタッグを組んで復習を企てているのでは?だから……葵はあの七夕の日に、聴覚障害児の勇君に会いに来て被害に合って何かの理由があって消された?」


「イヤ~その考えはどうも行き過ぎだわ?」


 一体どういう事なのか?


 そこには柳田組長の息子である、一卵性双生児翔と琢磨の存在を、もう一度洗い流す必要がある。

 ◆▽◆

 翔は実は障害者施設ではなく6階建ての施設の、5階の医療センタ―に入所していた。

 その時に、余りの醜さに入所している児童たちから凄い虐めを受けていた。

それはそうだろう。

 目は片目は焼けただれ溶けてしまい、髪の毛は半分ほど削げ落ちて、何とも痛ましい姿である。

 

 日本有数の、それこそ裏社会のドンと言っても過言ではない柳田組長の息子、当然の如く個室をあてがって貰い、更にはお金も子供だと言うのに当面困らないほどの大金を持っている。


 ある時虐めが余りにも酷いので、医療センタ―から移ったばかりの施設から逃げ出した翔。

 

「エエエエ————————ッ!だって?ボス的存在だったのでは?」


「だから……医療センタ―では散々だったが、施設に移ってからは理事長の兄の息子という事でボス然と振舞うようになった」


 元々お坊ちゃまの様に、組長や姐さんから大事に大事に育てられた翔は、そんな強姦など思いも寄らない事なのだが、あの日翔は医療センタ―を逃げ出し、夜も深まり行く中、泊る所を必死に探していた。


 今までその様な事は全て組員がやってくれていたので、こんなお坊ちゃま右も左も分からず途方に暮れている。


 すると前から殺害された姉のA子が歩いてきた。

 声を掛けようか迷っていると通り過ぎてしまった。


 ヤッバ~イ!こんな人通りの少ない所で、また誰かに会う事は、もう今夜は無いかもしれない?

 そう思い勇気を出して声を掛けた。


「あっあの~?すっすみません…この近くに………泊る所ありませんか?」


 するとそのA子は、余りの気持ち悪い不気味な容姿に、逃げ惑いながら酷い暴言を吐いた。

「キャ-ッ誰よ!チッ近付かないでキッ気持ち悪い!」


 そう言われて腹に据え兼ねるものが有ったが、それどころではない。

 お金持ちのお坊ちゃまに野宿の野の字も思い付く筈がない。


 尚も食い下がった。


「どこか泊る所を、オッ教えてください」


「バッ化け物————ッ!近付かないで❕ サッさもないと大声出すから~!」


アパートのすぐ近くだったので、運が悪い事に、そこに妹のB子が帰って来た。


「どうしたの姉ちゃん大騒ぎして?」


「この気持ち悪い男がしつこいので?」


「いい加減にしてよ!あなたみたいな化け物、近づいたら警察に通報してやる———ッ!」

 その警察と言う言葉に翔は反応した。


 裏社会の仕事は大概、法ギリギリの仕事か、法に反する仕事が多い。

 だから組長の父がよく組員に怒鳴っていた教訓が頭に擦り込まれている。


「警察に通報しようとする奴らは撃ち殺してしまえ!」


 今まで耐えに耐えていた糸が、余りの汚い暴言と警察の2文字で完全にブチ切れた。


 恐ろしい現場を知らず知らずに目にする事も多かった翔。

 

 こんな優男ではあったが、血で血を洗う現場を嫌と言う程知らされている。

 殺傷に対して殺傷で報復する。

 恐ろしいヤクザの血が騒ぎ出し、殺す事しか考えられなくなった。


 こうして警察の2文字でカ————ッ!となり、更には散々な阿鼻雑言の数々に、家に逃げ帰るのを追い駆けて最も残酷な形で殺害した。


「散々この俺様を侮辱してくれたな————ッ!」

 

 最も恐ろしい強姦と言う形で、相次いで刃物で刺し殺した。


「まぁ~翔もヤクザの息子ね!酷すぎ!」


「だけどその話も、どこまでが本当で、どこまでが噓か、分かった者じゃない?施設の知り合いに聞いたところ翔は、正義感の強い男だったらしい………どうも行方不明になっている施設の子供達の行方を追って、とんでもない事実に辿り着いた。それは恐ろしい身も気もよだつ事件らしい?そこで姐さんに10数年前の母殺しと姉妹殺害犯人として警察に、通報されて惨い最期を辿ったらしい?」


翔の真実の姿は一体???

 

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