第14話⁂怪しい夫婦⁈⁂



  一卵性双生児の琢磨と少年Aは、里美とは実の親子だと言うのに何故こんなに歪んだ親子関係になったのか?

  琢磨が母を恨む気持ちは嫌と言うほど分かるのだが………。

  例え捨てられたにせよ、何故少年Aがあそこまで残酷に、母里美を殺す必要が有ったのか?

 

 こうして恐ろしい事件の連鎖が起こって行く事になる。

 

 あれ~?それより、あの当時、本妻はいなかったのか?


 実は…誠に残念な事に、本妻さんは『うまずめ』といって子供の産めない女なのだ。

 不妊治療を試みるも断念。

 だが、追い出す事も出来ずに現在に至っているが、只々名目上の姐さんとして存在しているだけの身の上。


 何故お飾りで置いて置く必要が有るのか?

 離婚に踏み切れない理由でもあるのか?


 

 実は…姐さんは先代組長の一人娘で、婿養子に入ったのが現組長の柳田だから頭が上がらないのである。

 主たる登記簿、預貯金などは本妻が全て握っている。

 こんな経緯もあり追い出す訳には行かない。


 あの実母里美を、最も残酷な形で殺害した少年Aは、実はこの豪邸の長男なので行く行くは柳田組の組長を継承していく事になる人物なのだが、あそこまで酷い事をするには成長過程で耐え難い何かが有ったに違いない?


 若い愛人にも息子が生まれ跡目相続に巻き込まれ、若い義母から相当酷い虐待を受けて成長したらしい。

 それでも…本妻が易々と愛人の子供に跡目を相続させるとは思えないのだが?


 実は、本妻はかなりの高齢で組長より一回り以上も年上なので、もう年齢的にも子供は望めない。

 だから、それ所ではないのだ。

 何とか跡継ぎが誕生しないと大変な事。


 こうして少年Aは、実母が居ないながらも、組長の愛情を一身に集めスクスクと成長したのだが、若い愛人のせいで、この少年Aはとんでもない悲劇に見舞われる事になる。


 ◆◇◆◇◆

 あの華やかな仮面舞踏会が繰り広げられる丁度二ヶ月ほど前の事である。


 二〇一五年四月某日のある日、東京都台東区浅草に有る、この〔OUGI探偵事務所〕に若いカップルが、やって来た。


「最近巷で評判の”オオカミ怪人”を探して欲しい!」


 それから暫くして————

 アスペルガー東大卒の直樹は、実はとんだ天才肌、疑問に感じた事は徹底的に追及しないと気が済まない体質。

 

 何か疑問に感じる事が有るらしい。


「あの椿夫婦、何か変だと思わなかったか?『最近巷で評判の”オオカミ怪人”を探して欲しい!』て言って来たけど………まず…?夫婦と言うのも怪しい………あの椿辰也と名乗る男性は〔DREAMエンタープライズ〕というイベント会社経営の社長らしいが、その住所にいつ行っても『社長は只今来客中で手が離せません。又は外出中です』そんな事ってある?可笑しいと思わないか?それって………社長の顔を知られたくないって事じゃないか?それから…あの社長顔を隠すようにしていたが……手が妙に毛むくじゃらだったぞ~!そして…一方の妻で麗奈と名乗る女性は、ス-パ-モデルのような高身長の八頭身美女だったが、ストッキングからにょっきり毛が一部分出ていたんだ………ひょっとして麗奈と名乗る妻の方は男では無いだろうか………女性の声だったが?一瞬声がひっくり返って男の声に聞こえたんだ」


「あなた人を疑うのも大概にしてよ?もういい加減にして!何故男と女を真逆にする必要が有るのよ?」


「いや~絶対にあの二人は怪しい?夫婦と言っているが出鱈目かもしれないぞ———ッ!調べてみる価値はあると思うよ?〔DREAMエンタープライズ〕というイベント会社経営らしいが、登記簿が、過去に奥多摩湖近辺だったから、ひょっとしたらあのダルマ人間や小人人間を扱っている悪徳業者かも知れない?それから…若いカップルと言っても厚化粧の為、ハッキリした年齢は分からなかったが、何と年齢を聞いてビックリ!三十五歳で俺達と一緒じゃないか」



 調べていく内に、早速その『オオカミ怪人』に関する情報がもたらされた。

 それは……どうも、高名な医師が治療を口実に、研究の為に実験材料として入院させていたが、その狼のように体中に毛が生えた先天性多毛症の人間が、深夜に逃げ出して、それを目撃した人々によっての通報だったと言うのだが、その高名な医師と…あの椿夫婦は、どうも親戚関係にあり同じ敷地内で共同生活を送っていた過去が判明した。


 一体どういう事なのか?

 少しずつ見えてくる事件の全容⁈


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