成瀬くんにセクシーアピール

 はぁー。

 成瀬くん…

 私は成瀬くんのことを考えると胸が熱くな

 ります。

 この鼓動を抑えてくれるのは成瀬くんだけ

 だと思います。

 

 そう成瀬くんを考えながら一時間ブローと

 メイクに時間を費やした私。

 よし!バッチリ

 

「おはよう。成瀬くん」

「あー、おーっス」

 おいおい成瀬⁉︎

 ひとっつもこっちみないんかーい‼︎

 んもーっ‼︎

 

 あったまくるー。

 ってわけで次の日は、少し髪が跳ねてても

 どうでもいいんだから!

「おはよう。成瀬くん」

「あ、三上寝癖ついてやんの」

 くくく

 はぁ〜⁉︎

 なんで今日に限ってみてくるんだよー‼︎

 ったく成瀬ー‼︎

 

 バイト中

「いらっしゃいませ。」

 淡々と仕事をこなす。

 しかし…

 

「あのー、三上さん。もう少し笑顔で対応お

 願いね。」

 なんて店長から言われた…。

「あっ、はい」

 ニコッ。

「そうそう、その笑顔‼︎抜群にいいよ!おじ

 さんメロメロだよ〜」

 ほっこりする店長…。

 店長メロメロにしてもなー…。

 

「いらっしゃいませ」

 ニコッ

 仕方なく店長に言われた通りに愛想を振り

 まいた結果…

「君、かわいいじゃん。今度遊ぼうよ」

 なんてまた誘われた…。

「あー、ごめんなさい。私彼氏いますので」

「はぁ⁈なら愛想よくしてくんじゃねーよ」

 なんてお客さんに怒られる始末…。

 何⁉︎

 なんで私が怒ららなきゃならないわけ⁈

 意味わかんないから。

 

 でも愛想よくって言われてるし、一体どう

 すればいいのよー。

 

 仕方なく愛想を振りまき続けると、

「ねー、君オレに今色目使ってきたよねー。

 いいよ。オレ付き合ってやっても」

 なんて言うお客さん…

「あー、ごめんなさい。私彼氏いますんで」

「いいよ。別れちゃいなよ。どうせたいした

 男じゃないんでしょ⁉︎」

「えと…」

「いいじゃん、俺今夜送るよ。家どこよ」

「あの…」

 

 コホン。

 ん⁇

 今成瀬くん咳払いした?

 かと思うといきなりこっちに来て、

「オレが彼氏です。たいした男じゃなくてす

 みません」

 ってお客さんに言い放った。

 え…

「あー、やっぱりたいしたことないわ」

 引かないお客さん。

「彼は最高に私に優しくしてくれるんです。

 なのでほんとごめんなさいっ」

 って頭を下げると

「けっ、くっだらねー」

 と言い店を出て行った。

 

「成瀬くん、助けてくれてありがとう」

「あー、別に助けたわけじゃない。そっちの

 レジが混むとこっちが迷惑だからー」

 なんて言った。

 フン、素直じゃないんだから。

 

 嬉しかったな。

 でも、やっぱり今日も完敗…

 

 お店を出るといきなり

「おい、先に帰んなよー」

 って成瀬くんが私の手を繋いだ。

「えっ、成瀬くん⁉︎」

「しっ、後ろにさっきのしつこい客いんぞ」

「へっ…こわ」

「だから、しばらくこのままいてやる」

「…うん。ありがとう」

 

 しばらく成瀬くんと手を繋いだまま歩いた。

「もう大丈夫だろ。じゃ気をつけて帰れよ」

「うん。ありがとう」

「おまえ、意外とそういうとこあるからな」

「えっ」

 

 成瀬くんは、行ってしまった。

 

 …そういうとこって何?

 ってか、手繋いじゃった。

 

 成瀬くんと手。

 くふふっ。

 でも、あのお客さんのことを考えるとゾッ

 とする。

 

 次のバイトの日

「成瀬くん。この間は、ありがと」

「勘違いすんなよ。あれはなんの意味もねー

 からな」

「はい。わかってます」

 ニコッ

「さ、仕事仕事」

 そういい成瀬くんは、あっさり言ってしま

 った。

 

 でも、いい。

 私を助けてくれただけですっごく私は、幸

 せなんだ。

 クフフ

 

 次の週

 かわいいキャラから作戦変更

 セクシーキャラにしてみた

 

「おはようございます」

「うっわ」

 えっ…成瀬くん。

 うっわって。

 セクシー系嫌いなのかな…

 

 また失敗か。

 

 かと思いきやバイト終了後

「おい、三上」

 成瀬くんが私を呼び止めた。

「えっ何?」

「送る」

「ん?」

「おまえのこと送るって言ってんの」

「ははぁん。やっぱり成瀬くんも男だねぇ、

 セクシーに興味深々ですか」

「はっ?自惚れんな。ってかこの前客につけ

 られたのに、そんな格好してくる奴がある

 か。能無しが」

「はぁ?失礼しちゃう。」

「あんま文句言うなら送らねーぞ」

「あっ、すみません。送ってください」

 

「…おまえさ、ただでさえかわいいんだから

 そういう服装やめた方がいいぞ」

「えっ」

 今…かわいいって言った?

「あー、腹へった」

「あの、今かわいいって言った…よね⁇」

「は?なんの話ですかぁ⁈」

 ん?

 たしかに言ったよね?

「あのっ」

「ん?頭だけじゃなくて耳もおかしくなった

 のか?」

「はぁ?ひっどい!もういい」

 フッ

 鼻で笑う成瀬くん。

 

 よくわからないけど、また成瀬くんが私を

 送ってくれた。

 これは進展したって事よね?

 ねっ⁇

 

 続く。

 

 

 

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