第二十話
「なんで開いてるんだ?」
家に着くと朝、鍵を閉め忘れたのか鍵が開いていた。
ああ、俺は一体真奈の何が好きなんだろうか?
顔か?
身体か?
性格か?
……わからない。
なぜ好きなのかわからない。
玄関の扉を開け、中に入ると一足のローファーが綺麗に置いてあった。
「……?」
誰だ、一体。
ガラガラとリビングの扉が開き、そこから──。
「先輩……っ♡」と制服姿の夢芽が出てきた。
なんで、なんでいる?
まだ学校の時間のはずだ。
それになんで家にいる?
「合鍵です♡」と俺に鍵を見せつける夢芽。
なんで合鍵を持っている?
「先輩っ、学校をサボってどこに行っていたんですか♡」
夢芽の右手には真っ赤に染まった包帯が巻かれていた。
「ああ、これですか? 気にしないでください。それより、先輩は何をしてたんですか♡」と俺に近づいてくる夢芽。
これから夢芽とヤることを考えると真奈とシたことは言わない方がいいだろう。
「ん、体調が悪くて早退きをな」
「嘘ですよね?」
「いや、本当だ。夢芽は?」
「嘘ですよね? 本当のことを言ってください、私怒りませんから」
ああ、こいつもめんどくさいなあ。
わかってるじゃんか、なら聞くなよ。
「先になんでいるか教えてくれ」
「……しょうがないですね♡」
すると、制服を脱ぎ下着姿になる夢芽。
「そんなの先輩とシたいからですよ……♡」
ああ、こいつわかってるじゃん。
「じゃあ、下着も脱げよ……」
「はい♡」
「俺の部屋からゴム持ってくるわ」
「はい、先輩♡」
正直、真奈とシた方が数倍いや数百倍気持ちいいものだと思っていた。
けれど、夢芽の方が気持ちいいことがわかった。
なら、今俺とシたいと言っている夢芽とするのは別に悪いことじゃない。
人間なんてそうだ、自分が良ければどうでもいいんだ。
○
「先輩はどこに行ってたんですか……♡」
ゴムを箱ごと手に持ち、リビングに着くと夢芽が俺に抱きついてきた。
命令しておいた通り裸だ。
「んなのわかってるだろ」
俺が何しようが俺の勝手だろ。
いちいち聞くんじゃねえよ。
「はい、姉さんとシてたんですよね……」
「ああ、ほらするんだろ? 早くしろや」
「……はい♡先輩っ♡」
自分がもう自分ではないみたいだ。
自分が前までどんな人間だったのか今となってはわからない。
ただ、これだけはわかる。
──真奈が好きであるということを。
ああ、そういうことか。
俺は二人に恋しているんだ。
夢芽は顔と身体、真奈は心に。
つまり、二人で一人のようなものだ、俺を満たしてくれるのは二人と一緒する時ということだ。
真奈とキスをしながら夢芽とする。
それが一番俺を満たしてくれるということだ。
○
「……先輩っ、私と姉さん、どっちの方が気持ちいいですか?」
「夢芽に決まってるよ」
「はい、嬉しいです、先輩」
やっと、わかった。
今度は二人と一緒にシてみたいな。
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