第十六話

 朝、待ち合わせ場所の時計台の前に行くとそこには夢芽だけが立っていた。

 真奈はどうしたのだろうか。


 こちらに気づくとニコリと微笑む夢芽。


「おはようございます、先輩っ♡」


 昨日、あれだけの出来事があってなお、夢芽がいつもと同じように接してくるのに少し驚いた。


「ああ、おはよう。真奈は」

「姉さんですか? 姉さんならお休みです」

「そうなのか」

「はい♡、体調を崩したと言っていました」


 はあ、真奈とヤりたかったがいないのならしょうがない。

 正直もうこっちから手を出してそれで振られたとしても後悔はない。

 その場合は夢芽にいくだけだ。

 ちくしょう、余計にシたくなってきてしまった。


「なあ、夢芽?」

「はい、なんですか先輩っ♡」


 なら、すればいいじゃないか。

 ここに道具ならあるのだから。


「一時間目は休んで今からシないか?」


 ──道具なのだから使いたい時に使えばいいんだ。


 夢芽はその言葉にパッと花が咲くように明るい顔をして。


「はい♡、先輩っ!」と俺の右腕に抱きつく。

「ゴムは……」

「財布にあります♡」


 どんどんと自分が気持ち悪くなってきていることはわかっている。

 でも、自分でもどうすればいいのかわかないんだ。

 だから、仕方がないことだ。


「そうか」



「よお、黒宮。重役出勤ごくろーさん!」


 一時間目の終わりのチャイムが終わると同時に俺は教室の中に入ると斉藤が声をかけてきた。


「ああ」

「どうしたよ、なんか暗いな」

「そうか?」


 はあ……帰りたい。

 退屈だ。


「まあ、いいや。あ、そうそう、朝な? 先輩がお前を探してたぞ?」


 何故だろうか、俺が先輩に呼ばれる理由があるはずがない。


「名前は」

「あー、喜一って言ってたな」

「へえ、知らないな」

「俺も知らん、とりあえず、昼休みに会いたいから視聴覚室に来てくれってよ」

「そうなのか、わかった」


 一体なんなのだろうか。

 わからないが行くとするか。


───────────────────────


ひとつ、皆様に聞きたいことがあります。

それはこの作品のジャンルが個人的にはラブコメではなく現代ドラマな気がしてきたことです。

皆様はどう感じますか、ぜひ教えてくださると嬉しいです🙇‍♂️。

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