第42話 教会へ

「アルフレッド様……クリフ神官長を助けてください」

「どうして僕が? 人を助けるのは教会の役割だろう?」

「私たちも手はつくしました。でも、クリフ神官長は……弱っていくばかりで」

 カイルは、へたり込んでいた。

「レイス様も私も、クリフ神官長を助けるためにできることは下のですが、クリフ神官長は目を覚まさないのです」

 アルフレッドは目をつむりカイルの話を聞いていた。


「僕たちが助ける義理はないけど……これから町の人たちに優しく接してくれるというなら、協力しましょう」

「……わかりました。今は一刻を争います。早く教会へ」

 カイルは外の木につないでいた馬のところへ駆けていった。

「トレヴァー」

「はい、馬車の準備ですね」

「うん。やれやれ、今日は忙しい日だね」


 トレヴァーが馬車を用意すると、アルフレッドはフローラを呼んで馬車にのせた。

「それじゃあ、皆で行こうか。トレヴァーよろしく」

「わかりました」

 アルフレッドたちは再び教会に向かった。


 教会に着いたのは日が変わるほんの少し前だった。


「こちらへ」

 カイルはアルフレッド達をクリフ神官長の寝所へと案内した。

「クリフ神官長の具合は?」

 クリフ神官長のベッドの脇に座っているレイスにカイルは声をかけた。


 レイスはアルフレッド達をちらりと見て、渋い顔をして言った。

「意識が戻りません。それに、顔色がどんどん悪くなっています。アルフレッド様、あなたたちがクリフ神官長をこんな姿にしたんです」

「ご挨拶だねえ」

 アルフレッドは苦笑いをして、フローラに言った。

「フローラ、回復魔法をかけてあげて」

「はい」

 

 レイスはフローラがクリフ神官長に近づけるように、席を立った。

 フローラはクリフ神官長に手をかざし、回復呪文を唱えた。

 クリフ神官長は小さくうめいた後、うっすらと目を開いた。


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