第22話 奏でるトルマリン魔法
「歌と踊りなら衣装も必要ね。演奏できる楽器と衣装を呼び出す魔法ね」
宝石魔図鑑をださずに、プレシャスと話ながら頭の中で考えた。
「声だけよりも楽器の音があると賑やかになります」
「楽器も考える。色々な音色が出したい。宝石でいえば多彩な色がある宝石ね」
「今回はどの宝石ですか」
プレシャスが近づいてきた。
「トルマリンよ。種類の豊富な色が特徴よ。音階と色を結びつければ多くの歌に対応できる。楽器にはパーティーカラートルマリンが合いそう。二色以上の色が、一つの宝石内に存在する現象よ。複雑な音色を表現できそう」
「どのような歌か楽しみです。楽器は何にしますか」
「ハープにしたい。オンとオフで自動演奏ができると便利ね。歌は私が大好きな、~花びら踊る街で~。これに決まりよ」
「魔法発動時の見た目も重要だと思います。何か考えていますか」
「音階が色に対応して、奏でると音符が浮かび上がる。きっと素敵な感じになる」
頭の中でトルマリンの頁を思い浮かべた。一番上の枠に書きたい内容を想像した。頭の中で書き込んでみた。あとはこの内容を実際に書き込むだけだった。
「トルマリンがどのような宝石か見たいです」
「さっそく見せるね」
宝石魔図鑑を出現させた。トルマリンの頁を開いた。目を疑った。
「枠の中に内容が書かれている。今までになかった。頭の中で考えた内容と一緒よ」
「本当ですか。今までと何か異なりましたか」
思い出してみた。今までも頭の中で魔法の内容は想像した。書きたい中身以外で、違いがあったと考えるべき。
「強いて言うなら頁と枠の指定ね。頭の中でトルマリンの頁と、どの枠に記入するかを考えてみたのよ。書き込む想像もした」
「仮に本当なら、もう一つの衣装を呼び出す魔法で試したらどうでしょうか」
「今のうちに確認しておくのもありと思う。まずは魔法の内容からよ。宝石はパライバトルマリンにしたい。青色と緑色を基調とした幻想的な衣装にする」
「色はパライバトルマリン特有なのでしょうか」
「鮮やかな色合いが特徴よ。サファイアに比べて緑色寄りの青色よ」
実際の写真を見せた。立体的に浮かび上がったルースは、輝きが凄かった。
「同じ青色でも異なっています」
「魔法の内容が決まったから、頭の中で想像してみる」
トルマリンの頁を思い浮かべて、上から二番目の枠を想像した。衣装の色合いや全体的な特徴を想像した。
目の前に置かれていた宝石魔図鑑に異変が起こった。該当する枠に文字が刻まれた。
「頭の中で想像したら本当に書き込めた。驚くべき発見ね。緊急時に役立ちそう」
最終的には呪文を唱えないと確定されない。それまでは書き直せる。間違って書き込まれても修正できる。
「素晴らしい機能です。ただ人前では想像で書き込まないでください」
「自動で書き込まれると普通は驚くよね。理由の説明も難しい」
「アイ様は新しい魔法を作っていますが、通常はすでにある魔法を覚えます。宝石魔図鑑に書き込む姿を見られたら、覚えたい魔法を書き込んでいると説明してください」
プレシャスの意図するところは分かった。簡単には新しい魔法は作れない。あくまでも既存の魔法を覚えるために書き写す。他の人にはこの説明が無難ね。
「なるべく人前では書き込まない。書き込むときは注意する。魔法も完成したから呪文を書けば完成よ」
「呪文はもう決めたのですか」
「楽器が
呪文はペンを使って書き込んだ。準備が整った。
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