第2話:労働環境の変化 ②

仮に元に戻ったとしても以前のような気持ちで仕事が出来なくなってしまうこともあり、こういう経験をしている人の多くは組織に戻るよりも個人で活動するという選択をする人が多い。その結果、転職市場に人が集まらなくなり、人材不足や人手不足を助長する結果になってしまうのだ。


 これらの問題を解決するには個人と社会のミスマッチを少しでも減らすことだろう。今は在宅勤務の企業が増え、人が戻るかと思ったのだろうが、結果として企業数の減少による人材の争奪戦が繰り広げられている印象だ。特に特定業種における人材確保が“求人”から“ヘッドハンティング”に変わっているような印象だ。


 なぜ、求人よりもヘッドハンティングが増えているのか?自分が分析していった結果、以前からある“即戦力”というワードが引っかかった。確かに、企業というのは人材育成が採用活動の際に1番大きなベクトルになる。つまり、採用した社員が未経験の場合、戦力として動いてもらうためには研修や実習など戦力にするために必要な時間がかかってしまうだけでなく、社員も取られてしまうため、すぐに働いてもらえる“即戦力”や“経験者”を優遇することでそれらの時間を最低限に抑えることが出来て、必要経費も抑えられるというメリットがあるのだ。これらの観点から考えると即戦力が求められる風潮により長期離職者が再就職する際の壁になってしまうことがあるのだ。


 そして、この問題に対して社会における認識がこのような人たちの状態に寄り添った考え方ではないことから社会的な軋轢のような事態が発生し、個々に応じたさまざまな支援を受ける際に偏見や噂などが出ること、子供がいる場合には子供がいじめられるなどの本来あってはいけない事態に発展することを恐れてしまう、地方で車がないと再就職などが決まったとしても必要経費に対する個人の負担が大きすぎて復帰が出来なくなる可能性がある。


 これらを避けるために生活保護などを受けずに在宅ワークや内職などの需要が高まるだけでなく、動画配信者などの家にいて出来る仕事が好まれる傾向にある。


 ただ、これらの仕事も限りがあるため、全員が定職として働けるわけではない。そして、きちんと安定した所得が得られる保証はない。つまり、普通に働いている事が美徳のようになってしまうことでこのような人たちの身動きが取れなくなり、安定した生活が出来なくなってしまうのだ。


 では、どうすることでこれらの情勢を打開できるか。私は“パーソナル・オペレーション・ジョブ”という“個人業”を提案したい。これは、個人でやっていることを全て職業とみなして社会復帰を目指すという条件は付くが、毎月一定の給与は支給され、生活の保障もされることになる。そのため、企業などで働いていた、働いている時の状況を生み出すことで社会復帰の促進とそれらの起因を強みとして社会貢献できるというメリットがある。しかも、契約なども状況に応じて締結し、コンプライアンスに準じた業務を行うこと、マネジメント契約をして仕事をする事などその人の理想型を追求することが可能となり、その内容によっては歩合や出来高などを選択するなど個人を組織に保証されることになりどんなことでも仕事として気軽に働くという事が可能となり、これまで会社には入れないから、引きこもりになってしまったから社会に貢献していないという考え方を払拭し、そういう人たちが出したアイディアや企画、構想を関連企業が業務提携や子会社化などを進めることが出来るだけでなく、企業にとってもチャレンジしたい分野を共創する人材を探すことで新しい風を取り込むことが可能となり、事業規模の幅が広がることになる。

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