第10話 証拠写真!?

次の日。



「優奈っ!」



 学校に来て早々、夕美が抱きついた。




「夕美…ごめん…昨日は…約束…」


「ううん。そんな事より、すっごい心配してたんだよーー。連絡も全然つかないから」


「ごめんね!」


「ううん…今日はバイト行く?」


「…行くようにはしてるけど…多分…辞める事になるかも…」


「えっ?どうして?」


「色々と…事情があって…」


「優奈…」


「またバイト探しから始めなきゃ!」




そこへ――――



「おい!戸西 優奈!」




ビクッ

振り返ると椎野君がいた。




「お前、何バイトサボってんだよ!」

「べ、別にサボってたわけじゃ…」

「休んだくせに」

「…それは…」



「連絡つかないってオーナーが心配していたぞ!」

「…そう…だよね……」



「何かあったのか?」


「…ちょっと…今日…謝っておく…けど…その前に…クビになるかも」


「無断欠勤だからな」


「そう!無断欠勤だから」


「バーカ!無断欠勤だけで、オーナーが、クビにするわけねーだろ!」


「…うん…でも…現実になるんじゃないかな…?」



「えっ…?」



「なーんて。そんなわけないじゃーーん!」

「お前な〜」

「…でも…分かんないじゃん!」

「戸西?」


「優奈…クビって…」


「色々とうちの店のルールあるから。でも、大丈夫だよ!クビになるわけないじゃん!」


「優奈…」


「戸西…」




「大丈夫だよ!ごめん…ちょっとトイレ行ってくるね」


「う、うん…」





正直、授業なんて受ける気なかった。


私は夕美に連絡をし、適当に誤魔化しといてと話しておいた。





そして――――




「お疲れ様です!昨日はすみませんでした!」



私は深々と頭を下げる私。



「…そんな事より…優奈ちゃん…これ…どういう事かな?」



「…えっ…?」




1つのテーブルを囲み既に来ているみんなが私に冷たい視線を送る。





「優奈ちゃん…嘘だよね…?」


亜理宮 琢巳君。



「男の客が増えているのって…これ…関係してる感じ?」


緖喜田 啓一君。




私はゆっくりと歩み寄る。


テーブルに広げられた数々の信じ難い写真。


男の人と写っている写真だったり、まるで関係を持っているかのような角度から撮られた写真。




「………………」 



この写真を見て何もなかったです!誤解です!と、説明出来ないのが悔しい。



「お疲れ様でーす!あれ?どうかしたんですか?」


「お疲れ……雪渡」


「何かただならぬ空気感…」



テーブルに歩み寄る椎野君。



「えっ…!?これ…って…マジかよ…つーか…学校で話していた事…」



「………………」


「そ、そう!だから言ったじゃん」


「…優奈ちゃん…申し訳ないけど…今日限りで辞めてもらえるかな?俺達、こういうのを目的としてやったいる仕事(バイト)……」



「知ってますよ!」



オーナーが言い終える前に口を開くと、更に話を続ける。



「痛い程、言われてきたんで、自分でも良く分かってましたし、これが違うって言った所で誰も信じてくれないでしょう?」



「………………」



「…本当…好きな人の為なら…どんな手でもするから怖いよねーー?成巳ちゃん。もう何人の犠牲者が出たんだろう?」


「えっ…?私がどうして?私は知らないよ…酷い」



「おいっ!何言って…彼女は関係ねーだろ?」


椎野君が彼女を庇うように言った。



「本当にそうかな?」


「戸西!」


「優奈ちゃん…?…本当の所どうなの?体の関係あったとなると本当にクビだよ!何かしら理由あるなら調べるけど?」



「オーナーは、写真を信じるんですか?それとも…新しいバイトの子の証言?」



「宗氏」


「宗ちゃん」


「俺は彼女を信じますけど」



テーブルに歩み寄る砂都中君。



「例え、この写真があった所で俺は彼女・戸西 優奈を信じます!」




ポンと頭をすると肩を抱き寄せる。




「砂…都中…君…」



「取り敢えず俺はしばらく休みます。ちなみに彼女をクビにする位なら俺も辞めて良いし」


「砂都中君……そんなの…」


「だって女の子の客が減ってる現在(いま)、仕事(バイト)する意味あるん?」


「…砂都中君…」



「オーナー、俺思うんですけど…男が増えてるんやないと思いますよ。女が減っていると思います。もっと徹底的に調べた方が良いと思いますよ?」


「宗氏」


「雪渡、モテる男は大変やな?」


「えっ?」


「じゃあ俺は帰ります」と、帰り始める砂都中君。




「砂都中君!」



呼び止める私に歩み寄る砂都中君。


ポンポンと頭をすると私の肩に手をおき



「詳しい事、調べるわ!必ず戻したるから元気出しや」


「…砂都中…君…」




再び、頭をポンとすると帰って行った。




「………………」



「今日までありがとうございました。私がいても邪魔だろうし、成巳ちゃん良かったね!イケメンに囲まれて椎野 雪渡と毎日バイトも出来るし独り占めじゃん!それじゃ、お世話になりました!」



「おいっ!戸西優奈!」

「何?」

「お前…本当に…こういう事したのか?」

「…ないよ…」

「えっ?」



「分かんないよ!目が覚めたら知らない所にいたし関係持ったとか持ってないとか…肝心な所が…」


「…優奈ちゃん…可哀想…関係持ったとか持ってないとか…女の子なのに…肝心な所が分からないなんて…相手が悪いですよね…何もないなら良いですね…優奈ちゃん」




私は去り始める。




ドンとぶつかると誰かが引き止めた。




「おいっ!優奈バイトは?」

「たった今、クビになりました」

「えっ…?」


「私の写真が…。昨日、話していたように事件と思われるのが沢山あって…」


「…証拠写真か…」


「あれじゃ説明しようがないですよ…私、本人は覚えてないし…」


「優奈…」




私は泣きそうになる。




「結局…彼女の思い通りになっているんですよね?取り敢えず帰ります。お世話になりました」




私は走り去った。




















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