第7話 情報

「あの…今日は…体調悪いので、早退しても大丈夫ですか?」


と、成巳ちゃんが言った。



「大丈夫?送ろうか?」と、オーナー。


「…大丈夫です…」


「そう?気を付けてね」


「はい、すみません。お疲れ様です」




成巳ちゃんは帰って行った。




《ズルい…!つーか…甘いっ!甘いっ!甘いっ!》




私は彼女の情報を知っているから尚更、腹が立つ。


今日は、お目当ての人がいないから早退したんだと私は悟った。


来た時は、元気に来てシフトを見たら、椎野君の名前がシフトになく――――




「あれ〜?休みになってる…今日、いないんだ…早退しようかな〜?」




かなり残念そうにしていた挙げ句の果てには早退しようかな?と、迄、来て早々、言い出したのだ。



働く気、ゼロ%


呆れる。



しかし本当は、バイトだった椎野君。


彼女が言う通り、シフトには入っていたのだ。



そして――――



学校には来ていたものの、椎野君は、早退したのだ。


私は、不快なままバイトをするのだった。




そして、バイトを終えた、その日。



「優奈ちゃん、お疲れ様。今日は、残業頼んでごめんね〜」と、オーナー。


「いいえ。家族の為と思えば、全然平気です!」




予定では、椎野君が残業だったのではないかと思う中、彼が、いない以上、私は残業する事にした。


私は、残業は逆に、どうしてもの時は、緊急でするように話をしてあるからだ。




「本当、優奈ちゃん元気だね?無理してない?」

「大丈夫ですよ?貧乏暇なしなんで」



まあ、実際に無理していないと言うのは嘘になるけど



「そうか。今日は、家まで送るから」


「えっ?いいえ、大丈夫ですよ。オーナーも疲れているだろうし」


「優奈ちゃんに話しがあるから付き合ってもらうよ〜」



「話ですか?…分かりました」



《…話…何だろう?》



そして、送ってもらう流れ、車内での事。



「優奈ちゃん、成巳ちゃんと仲良くしてる?」

「えっ?はい。大丈夫ですよ」

「本当?」

「はい」


「それなら良いけど、何かあったら言ってね〜。即効クビだから」


「はい、分かりました」




《本当は正直に言いたいけど》

《何を仕掛けてくるか分からないからな〜。怖いんだよね〜倍返しされそう》




「ところで、優奈ちゃん、本題なんだけど」


「はい」


「裏方とホール両立してみない?」


「えっ!?」


「優奈ちゃんには、カウンターにいてもらえれば良いから」


「カウンターですか?」


「うん、前にしたようにしてもらえば良いから難しい事じゃないと思う」


「…考えさせて下さい」


「すぐに返事もらえない感じ?」


「はい…ちょっと…」


「じゃあ、今月末までに教えて」


「分かりました」




―――――次の日




仕事が終わった後の事だ。




「優奈、どうした?今日は、1日ぼんやりしていたようだが」


「そ、そうですか?」



「変なものでも食べたんじゃねーの?」

「椎野君!食べてないから!」



「何か悩み?」と、亜理宮君。


「えっ?」


「いやいや、コイツに悩みなんてねーだろ?」

「あのねー!椎野君、本当、失礼な人だね!?」

「えっ?あんの?」

「ムカつく!もうあんたはさっさと帰れ!」



私は追い出すように出した。




「はいはい。じゃあ、お先に〜お疲れ様でーーす。なあ、琢巳、飯食べに行こうぜー。つーか、付き合って!」



「えっ?」

「良いじゃん!頼む!」

「じゃあ、雪渡のおごりで」

「おごり?じゃあ特別な」

「じゃあ、俺も〜」

「うわっ!啓ちゃん!」



そんな会話が聞こえる中、3人は帰って行く。




「で?本当の所、どうなんだ?話なら聞くが?」



私は、昨日のオーナーの話をした。



「あー、確かに。俺に話をしてきたな。しないのか?すれば良いんじゃないか?」


「良い話なんですけど……」





表に出れば更に楽しくなる。


色々な人と出出会うから。


だけど、成巳ちゃんの事を考えると――――




「優奈…?」


「令ニさん…実は…」



「………………」



「……ごめんなさい…やっぱり何でもないです。帰ります」



「優奈」

「お疲れ様です」



私は帰り始める。



グイッと腕を掴まれ引き止められた。




「………………」




「優奈ちゃん、令ニさんには、話してもらって良いよ」



声がし、声のする方に目を向けると、休みだった砂都中君の姿。



「えっ?…砂都中…君?」



「宗氏…」

「令ニさんには、俺も前に聞かれたんだ」

「えっ?」

「彼女の事」


「優奈がいる時に話をすると言われたからな。取り敢えず、店(ここ)を出よう。ここは大丈夫だと言い切れないからな」



私達三人は店を出た。



向かった先は、とあるマンションだった。




「適当に座ってろ」



どうやら令ニさんの住んでいるマンションのようだ。


令ニさんはコーヒーを淹れてくれた。




「令ニさん、俺達の会話聞いてから後、彼女に対して、かなり警戒していたから。そうですよね?」


「ああ」




私達は成巳ちゃんの話をした。














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