第39話 帝国皇子の動きが更に変です。
「姫様。フェルナンデス様から、贈り物が届いております」
「えっ、今度は何?」
「お菓子とバラが一輪です」
「えっ、バラが一輪? まさか、黒いバラとか言わないでよ」
「いや、姫様、まだ黒いバラは発見されておりません。もしそうならばとても貴重なものでは」
ビアンカが関係ない所に反応している。
そう言う意味じゃないんだけど。
フェルから葬式の花が贈られるのは無くなったが、今度は食い物で私を釣りだしたのだ。
帝国堂のケーキから始まって、オーバー饅頭に、ドルフチョコレート、まあ、私はお菓子が好きだから良いけれど、何が頼みたいんだろう?
誰か好きな子ができたから紹介してほしいんだろうか。
そういえばフェルが女の子と付き合っているということを聞いたことがなかった。
帝国の皇子で、顔良し、剣良し、魔術良し、私と違って絶対にもてるはずなんだけど、何故か浮いた話を聞いたことがなかった。何故何だろう。
そうビアンカに聞いたら、メチャクチャ残念な者を見るように見られた。
「本当に、フェルナンデス様も報われませんね」
「えっ、どういう事?」
「いえ、姫様は鈍いなと」
「どういうことよ。私も最近は色々と分かるようになったのよ」
「じゃあ、フェルナンデス様の事も判るでしょう!」
「うーん、私に何か頼みたいことがあるのは確実なのよね」
「そうですね。それは馬鹿でもわかります」
「何よ、その言い方。私でも判るわよ。おそらく、女の子を紹介してほしいんだと思うんだけど、誰かわからないのよね」
そう私が言うと、ビアンカはその場に崩れてしまった。
「えっ、どうしたのビアンカ。大丈夫?」
「いいえ、余りにもフェルナンデス様が不憫だと思っただけです」
ビアンカは頭を押さえていた。
うーん、意味がわからん。
もう面倒だ。そうだ!こういう事は直接本人に聞くに限る。
「姫様、今また余計な事を思われたでしょう!悪いことは言いませんから、それはやめられた方が良いと思いますが」
「えええ! そんな面倒なことやってられないわよ」
私はまどろっこしいのが嫌いだ。こう言うことは直接聞くに限るのよ。幸いなことに本人が向こうからやってきた。
「フェル!」
私はフェルの機先を制した。
「どうかした?エル?」
フェルが喜んで聞いてきた。
「あなたから最近いろんなお菓子貰っているんだけれど、私に何か頼みたいことがあるんじゃないかなと思って」
「ああ、実はそうなんだ」
改まった表情でフェルが頷いた。
「実は・・・・」
何かフェルが言いにくそうにしている。まあ、自分の事ならなかなか言いにくいよね。私はこちらから聞いてあげることにした。
「で、私に誰を紹介してほしいの?」
「えっ?」
何故かフェルが固まってしまった。
どうしたんだろう?
私はフェルを見ると、頭を抱えていた。
「姫様、姫様は酷い!」
ビアンカが何故か怒っている。
うーん、意味がわかんない。
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