第12話

今は一途に、真一を愛している麻衣だが、数ヵ月前は

5つ歳上の優しい正樹といい感じになっていた。

独身だし、経済力もあり、性格もいい、申し分のない男性だ。見た目も、スマートで背も高くほんとにもうしない人だと麻衣は思っていた。

もともとはお客さんで、久しぶりに緊急事態宣言のとき、自宅に誘われ初めてお邪魔した。昼間からワインを飲み映画を見ながらなんとなく身体を許してしまった。お互いに独身だし、何の問題もないが、正樹は好きとかいう気持ちを言わなかった。

麻衣にとってみれば、中途半端でなんなんだろう好きかどうかもわからなくて、モヤモヤしていた。

ただ、正樹はいつもスマートに、高級なフレンチやイタリアンに連れていって、くれた。

あるときは、緊急事態宣言で店が開いてないと自宅に麻衣を招き思い切り料理を振る舞った。

「洗い物は私がします。」

と言ったが、

「いいよ、気にしないで。」

といった風だ。

麻衣はこの人がパートナーだったら、生活に不安もなくいいだろうなと思っていた。この頃は真一のことは

好きだけど結婚してるので諦めようと思っていた。

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