第39話猫又と蚕妖精

シルキーsaido

その日はいつものようにだらだらと家で過ごしていた時だった...

突然隣の部屋からガサガサと音とチリンチリンと鈴の音がしはじめました

鈴の音を鳴らしている正体は.....

「猫だ」

猫です。なんか部屋の中に黒い野良猫が入ってきてました。

「誰も....いないよね?....」

そう言って2本の尾を持つ黒猫がキョロキョロと周りを見渡しながら猫なのに流暢に喋りながら木箱を漁る黒猫。確か今漁っている木箱の中身は昨日、魚屋から買ってきたアジみたいな見た目の魚が入っていて、名前はアジモドキ。ただそのまんま置いておくと生臭くなったり腐ってしまうので氷魔法を使って氷漬けにしているので、黒猫が凍った魚を掴もうとしてつるんと手から滑り落ちてるのを見て

「....かわいい」

でも……なんで尻尾が2本?

……猫又かな?

確かそんな感じの妖怪がいたはずだけど…某幽霊族のヒロイン的な奴でさ

この世界にもいるのかな?

「....?見えてる?.......いや、そんな筈は.....」

となぜか猫のくせに二本足で立ってあざとかわいく子首を傾げる二本の尾の黒猫

......確かにかわいいんだけど...自分、喋らないマスコット派なんだよね

喋るマスコット派と喋らないマスコット派の確執は根深いのです

まぁそれはともかく。

「見えてますよ?黒猫さん」

「私が見えるのですか!」

びっくりしたようにしっぽの毛を逆立てる黒猫

「見えるって?」

猫なら普通に誰にでも見えるだろうけど...もしかして何か魔法を使っていたのかな?

「えぇと、実は私は猫又でして....普通の人には」

そうですか。やっぱりそうなんかぁ。

確かに通常一本の尻尾も2本だし、予想はついていたけど、やっぱり猫又なんだねぇ

猫又って確か、

「私は極東の島国にある妖怪の国からきたのです。」

妖怪の国ですか....極東といえばだけど、この世界にも日本みたいな国があるのかな?

あるなら

「確か、世界樹の街でよく見る妖狐族も極東の出身だった筈ですが....」

世界樹の街はこの前行った冒険者ギルドがあった街の事です

「妖狐族?....あぁ、旧ローレライ連合国とうちの国との国交があったころにこの大陸に渡った種族の人達ですか」

彼女?が言うには、昔のローレライ王国と極東にあるらしい妖怪の国に住んでいた妖狐族が移り住んで、世界樹の街に住む混血の種族が今の妖狐族だそうだ。

あと気になったのが....

「旧?」

この国の名前はローレライ王国だった筈では?

日頃お世話になっているしゃべらなければ美人のティアナさんは王都の騎士団の団員だし、まだ王都には行ったことはないけれど、いろんな町があることは分かります。たまに中世とは思えないくらい所々発展している場所もあるけれど....予想だともっとザッファンタジーみたいな異世界を想像していたんだけど....所々前の世界よりハイテクなんだよなぁ

「この国の前の名前です。」

それはしってる。

「今はローレライ王国ですが、昔の国土は今の国土の5倍はあったんですよ?」

5倍!?そりゃすごいですね!

....でもそれは....まぁ、幾つもの国が連合をくんでいる文字どうりの連合国なら普通かも?例えるならば元の世界で言うところのロシア連邦みたいな感じでさ、

ロシアは最近なんか、きな臭くなってたけども

「そういえば、なぜここに?」

話が逸れてここに来た理由がわからなかったんですが.....

まぁなんとなく予想できますがね。

「それは…なんというか…」

後ろめたそうな、しまった聞かれちゃったみたいな顔をしてどうしようか悩んでいる黒い猫又

「何かあったんですか?」

ん?なんか今まで綺麗な黒色の尻尾だった所が燃えてね?火なんて付いてたっけ

「あの、尻尾燃えてますよ、大丈夫なんですか?それ」

そう言うと猫又さんは後ろで揺れているしっぽを見る

「え?あぁ、これは無害な火なので大丈夫です!!」

ほら見てくださいと言って燃えているしっぽを手元に持ってきて、肉球を当てて無害であることを証明する。

「めちゃくちゃ燃え盛ってますけども」

本当に大丈夫なのか?

「絶対!大丈夫!猫又の火は無害って古時記にもかいてありますし。」

そう二本足で立っている猫又は右手を握りしめながらドヤ顔で主張する。

古事記もどきというか、偽物臭がするぜぇ....

「そうですか....」

この世界は妙に偽物臭がするというか、ちょっと物の名前が違うのが多いからついジト目になってしまう。

「むっ、さては信じていませんね?ではあなた専用のマイ古時記を差し上げましょう」

そう言って明らかに入らなそうな小さな袋からコ〇ケのカタログよりも数倍大きく分厚い本を取り出しドスンと音を立てながら机に置く。

あとその本どこにしまってあったんだよ....絶対入らないでしょ

「どうぞ。」

「.........どうも」

「では、私はこれで帰らないとかな?」

そういって猫又は

「はい。今度来たときは御もてなししますのでまた来てください。」

「そうですか?じゃあまた今度、来させていただきますので」

そういって机に置いていた古事記を背負っていた袋の中にしまって窓にピョンと飛び乗り去っていった。あの本、明らかに重すぎると思うんだけどなぁ...

ぐぅ....

お腹すいたなぁ....そろそろ飯ですね。

「何かの気配!!.....この魔力は,,,,,アルカお祖母ちゃんかな?」

なぜわかったかというと最近魔力を薄く波として発することで周りの把握ができるようになったのだ。めちゃくちゃ便利

「シルキーちゃん~帰ってきたよ~」

玄関からガラガラと音を立てて入ってきたアルカお祖母ちゃんの声が聞こえてくる

さて、今日のご飯はなんじゃろなっと......

つづく

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