26、あの夜は


あまりの暑さに眠れなくて

散歩に出た夜のこと


道を歩くと不思議なものばかり目にした


のっぺらぼうが歩いていた

人の言葉を喋る猫たちがいた


空には一反木綿が見えて

川原では河童がキュウリを食べていた



暑さのあまり変な夢で見ているのか

それとも



ふと気づけばベッドの上で寝ていた

窓からは朝日が覗いている


やっぱりあの夜は夢かと思って

枕元の携帯に手を伸ばそうとして


携帯の横に夢の中で河童がくれた

半分のキュウリが置かれているのに気づいた



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